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» 2007年03月29日 08時00分 公開

よく効くエンタープライズサーチの処方箋:「あやふや地名」検索を実現したマピオンモバイル (1/3)

ケータイ版「マピオン」に登場した新サービス「乗換&ナビ」は、出発地と目的地をフリーワードで入力するだけの手軽なインタフェースが特徴だという。実は、それをハイエンドのエンタープライズサーチエンジンが支えている。

[増田千穂(エースラッシュ),ITmedia]

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 サイバーマップ・ジャパンが提供する地図サービス「マピオン」の携帯電話向けサービスが、2007年1月に大きくグレードアップした。従来は住所やランドマークを基準に検索し、その周辺地図を表示するというサービスが中心だったが、これに交通機関の乗り換え案内と徒歩ルート表示を行う「乗換&ナビ」が追加された。現在はNTTドコモ端末向けにサービスが提供されている。

 従来の地図表示サービスを「マピオン☆ベーシック」とし、「乗換&ナビ」を利用できる「マピオン☆デラックス」を新設とする形でサービスを分離。月額料金210円に約100円アップの月額315円で利用できる設定になった。

 鉄道などの乗り換え案内や、徒歩ルートを地図上に表示するサービス提供に取り組むベンダーが増え、無料で利用できるサービスもある中、従来のマピオンファンと信頼性のあるサービスを求めるユーザーに支えられ、新規スタートの「乗換&ナビ」は順調な伸びを示している。

画像 「地名の“揺らぎ”を吸収できるようなシステムが必要だった」と語るモバイル事業部の中田部長

 「現在のところ、地図だけで十分というユーザーと、『乗換&ナビ』を利用したいというユーザーに分かれているが、そのデラックス版への登録も順調に増加している」と話す同社のモバイル事業部長である中田到氏は、サービス提供開始後3カ月で既に手応えを感じている。この成功を支えたのが、ノルウェーに本社を持つベンダー、ファストサーチ&トランスファ(以下ファスト)のサーチエンジン(関連記事)だった。

「揺らぎ」のあるフリーワード検索

 「マピオン」では、創業以来一貫して常に使いやすく直感的に利用できるサービスを基本に開発を行ってきたという。そのため、同社が「乗換&ナビ」を提供するに当たって不可欠な要素としたのが、住所やランドマークを指定しての検索方法だった。

 従来から提供していた地図表示サービスでの利用では、まずプルダウンメニューなどで「住所」や「施設名・地名」といった検索対象を指定してからキーワードを入力するというものだった。地図を表示するだけならこの操作は1度で済むが、「乗換&ナビ」を利用する場合、出発地と目的地を設定するため、2度の入力操作が必要になる。ケータイユーザーにとって、文字入力は結構な負担であり、それも2度となると利便性が下がってしまうと社内で議論が起こった。

 また、単純にすべてのデータを統合したデータベースを用意して、検索対象とすることにも問題があった。それは、住所表記などの“揺らぎ”にどう対応するかだ。

 「例えば『京都』と入力した場合、通常のRDB検索だと『東京都』も入ってしまう。また、東京の地名である『よつや』も、『四谷』『四ツ谷』『四ッ谷』『四つ谷』という表記が存在する。建物によってどれを採用しているのかはさまざまで、ユーザーが正しく把握しているとは限らない。こうした表記の揺らぎを吸収できるようなシステムが必要だった」(中田氏)

 この課題を解決するには、入力された文字列を適切に分析する機能と、蓄積されているノウハウを随時反映させるための拡張機能を兼ね備えたサーチエンジンが必要になる。自社開発も視野に入れ、複数製品を検証した結果、2005年前半にファストのエンジンが候補として検討された。その後、06年春に正式導入が決定、紆余曲折の開発を経て07年1月に正式サービスが開始された。

 ファストの採用に当たっては、必要条件を十分に満たす製品が少なかったことや、非常に多くのユーザーがアクセスすることを想定したサーバ増設が可能なスケーラビリティなどを含めて、今後のビジネスの成長にも対応し得るシステムであることなどが選定理由となったという。

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