「あやふや地名」検索を実現したマピオンモバイルよく効くエンタープライズサーチの処方箋(2/3 ページ)

» 2007年03月29日 08時00分 公開
[増田千穂(エースラッシュ),ITmedia]

フリーワードの簡単検索を支える細かいカスタマイズ

 実際のサービスにおいては、ユーザーの入力したキーワードの解析とデータベース検索にファストのエンジンが利用されている。ユーザーは検索対象を絞り込むことなく、出発地と目的地のフォームに思いついたキーワードをそれぞれ入力し、検索ボタンを押すだけでいい。そのフリーワードを解析することで、住所なのかランドマークなのかを判断し、類似語を含めた適切なものをピックアップして表示するのが、裏方で動くエンタープライズサーチの役割というわけだ。

 ユーザーにとっては、いつの間にか便利になったと感じているだけだろうが、確実な検索結果表示のためにエンタープライズサーチが果たした貢献は大きい。

画像 マピオンモバイルの「乗換&ナビ」画面。フリーワード入力や履歴からの選択で出発地と目的地を選んで、乗り換えとルート表示が利用できる(Copyright Alps Mapping K.K. All Rights Reserved.)

 もちろん、ファストを導入しただけですべてが解決されたわけではない。実際に利用される場合を想定して、多くのカスタマイズが行われたという。例えば、東京国際展示場の愛称である『東京ビッグサイト』を『ビックサイト』だと思っている人は多い。反対に、家電量販店の『ビックカメラ』を『ビッグカメラ』だと思い込んでいる人も少なくない。『ビック』と『ビッグ』の表記の違い厳密にこだわり、これをはじいてしまうようでは使いやすいサービスにならない。

 同社のモバイル事業部でシステムエンジニアリンググループに所属する上山新二氏は、カスタマイズの様子について次のように語る。

画像 「市町村合併に対応するため、かなり細かいカスタマイズを施した」と話すモバイル事業部システムエンジニアリンググループの上山氏

 「間違った表記でも、周辺の文字列から予測される正しい結果へと接続するようデータベースの調整を続けた。市町村合併による住所の変更を旧住所でも行えるようにするなど、かなり細かく手を入れている」

 住所変更や、新しいスポットが誕生するたびに、こうしたカスタマイズは必要となるという。終わりのない作業ではあるが、これらの作業なくしては、さすがのハイエンドなエンジンでも使いやすいサービスは実現されないということだろう。

 群雄割拠する乗り換え案内やルート表示サービスでありながら、多くの利用者が登録を行った背景には、こうした努力によって培われたマピオンへの信頼感があるのだろう。

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