火だるま寸前! 危険なIT導入からの生還――ITCが暴走防ぐITコーディネータ徹底活用術(3/3 ページ)

» 2007年04月02日 07時00分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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システムの話にすぐに飛びつかない

 ITCは「リアルタイム生産管理システムを入れたい」などといった相談を受けたとき、すぐに生産管理システムはどのパッケージがいいか、などという話はしない。そんな形で話を進めていくことがいかに危険かはすでにお分かりだろう。ITCは経営戦略の策定をファーストステップにして計画書、企画書を作り、どのようなアクションを具体的に起こしていけばいいのかを練っていく。

 もちろん、「経営のプランはもうあるから、システムについて考えてほしい」という要求があるケースは、システム面から相談に乗っていくことはあるが、まずは何に困っているか、経営者もしくは経営幹部に話を聞いていくことから始まる。そうしたカウンセリングの中から、本当の問題点は何かを探り出し、必要なITは何なのかを見極めていくのがITCの仕事なのだ。

 「しかし、うちが属している業種は特殊でね、システムは入れたいが仕事の内容そのものを理解してもらえるかどうか。専門家といっても、わが社のこと、業界のことについては素人だろう」というような意見もあるだろう。前述したようにITCはさまざまなバックボーンを持った人が資格を持っているが、特定業界それぞれの専門家が必ずしもいるとは限らない。

 ただ、ITCが期待される仕事は、特定業界の限られた人しか知らない仕事を熟知していないとできない仕事ではない。逆にITとさまざまな業種の仕事について豊富な知識を持ち、その知識を顧客の経営に生かすことだ。すべてを知っているはずの経営者や現場スタッフが見つけられない問題点を発見し、ムダのない解決方法を導きだすのが仕事だ。

 前出の西岡氏は、ITCAの理事で、業務開発広報委員長を務める。西岡氏はITCの役割について次のように語る。

 「ITCは特定の業種の専門家である必要はない。なぜなら経営とITという視点から、顧客企業の問題を経営の上流工程からプロセスに則って調べ、改善方法を提案していくのが仕事だからだ。必要なのは、改善や解決の事例だ。経営者に対して豊富な解決のメニューを提示できる人が良いITCだ。またケースによって最適な人材を連れてきてチームで問題解決にあたるのもITCの仕事の特徴。人脈の広さも大切ですね」

 ITCに相談をしたいという場合は、直接ITCAに連絡するのも可能。また各地方のITCは地元の商工会、産業振興財団や関連各所、金融機関などともネットワークを作っていることが多いので、こうした機関に問い合わせてみるのもいいだろう。

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