年2倍の成長を見せる企業向けサービスの強みとは――KDDI企業力を高めるモバイルソリューション(3/3 ページ)

» 2007年04月03日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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ワークスタイルを変えるにはモバイル

ITmedia 今後の法人のモバイルニーズをどのように予測されますか?

湯浅 2007年に急速に広がるのが内線としての利用です。KDDIでは「OFFICE WISE」などの内線ソリューションに注力しています。社外では携帯電話として、社内ではハンズフリーの内線電話として端末を利用できるものです。我々は、そこに業務アプリケーションやセキュリティを含めて統合プラットフォームとして提供できる強みがあります。どこでも携帯電話を利用して社内のシステムにセキュアに接続し、業務ができるようになります。

 無線LANを使うこのような仕組みは、以前は大掛かりで品質も安定していなかったのですが、最近はレベルが上がっています。さまざまなベンダーが参入して、ユーザーの選択肢も広がりました。当社はマルチベンダーでサービスを提供していますので、セキュリティ対策を含め、OFFICE WISEで携帯電話網を基幹とした安定したネットワークを構築できますし、無線LANとのデュアルネットワークも提供できます。

ITmedia 中小企業では通信コストの観点から定額制に関心が集まります。

湯浅 我々も音声/データ通信で定額制を導入していますが、これはある程度通信料の大きな企業でないとメリットがありません。価格競争は、我々が値下げすれば必ず他社も安くすることの繰り返しで、良いサービスを提供していく上では好ましいものではありません。

ITmedia 今後、業務アプリケーションの利用が増加すればデータ通信が訴求点の1つになりそうです。

湯浅 KDDIは無線部分だけでなく固定ネットワークも含めて提供できるのが強みです。つまりデータセンターも含めたすべてを提供できる訳です。今後、データ通信の利用は中小企業でも広がっていくでしょう。トラフィック制御などネットワーク全体の運用について、さらに研究を進めたいと思います。

ITmedia 企業のモバイル環境に対するIT投資をどのように見ていらっしゃいますか?

湯浅 さまざまな統計があり、モバイル投資の正確な定義は難しいのですが、モバイルソリューションという認知は企業の間で確実に高まっているといえます。モバイルコンピューティング推進コンソーシアムの導入事例をみても、モバイルを高度に活用する企業が数多く紹介されています。

法人市場の成長ペースは1年間で2倍近いという

 端末ベースで見ると、ここ数年は毎年1.5〜2倍ペースで契約台数が伸びています。おそらく業界全体でも同様の傾向でしょう。個人契約の端末を仕事に利用するのは好ましいことではないので、セキュリティ対策の伴う法人契約が増えていくと見ています。

ITmedia 今後はどのような展開をお考えですか?

湯浅 在宅勤務といったテレワークなど、今後は勤務スタイルが多様化するでしょう。KDDIは、内線ソリューションを強みの1つとしています。また、2009年にかけてJ-SOX法に関するニーズが広がると見ています。例えば無線/固定を問わず、顧客とのやり取りのすべてをログとして残すというようなことも求められそうです。

 我々は、ユーザーの業務をよく理解した上で、ユーザーに役立つソリューションを開発しています。モバイルソリューションは、コストではなく投資です。今後ともユーザーの利益につながるソリューションを作り上げ、最適な形で提供したいと考えています。

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