飯島氏によれば、SOAを成功させるには3つのポイントがあるという。1つは「アーキテクチャー・パーティショニング」、2つ目は「段階的な配備と保守」、3つ目が「サービスの再利用」だ。飯島氏は、イベントドリブン型のSOAを考える上で最も重要なのは1番目のアーキテクチャー・パーティショニングであるという。データ、プロセス、ユーザーインタフェースなどを一体化させずに各レイヤーに分け、それらをサービスインタフェースでつないでいく、という考え方が大切だという。
また、SOAを推進させるには「全体最適化」と「個別最適化」の両面からのアプローチが欠かせない。個別の用件が、全体の中で整合性の取れた形でマッピングされることが必要となるのだ。
ガートナー調べによる「SOAの問題点」に関するアンケートの回答の1位は「費用対効果が不明確」というものだった。これは、過去の事例が少ないための経営サイドの不安ということもあるが、留意すべきなのはユーザー側がSOAの必要性を見出せていないことだという。別の言い方をすれば、IT部門がユーザーに対して「気づき」を与えてあげることが、成功の秘訣だという。SOAに先行してBAM(Business Activity Monitoring)を導入し、常に業務の状況を把握することでユーザーの意識を変えるきっかけを作ることも、有効な方法のひとつだと飯島氏は語る。
セッションの最後に、ガートナーからの提言として、SOAプロジェクトの前には継続的なプロセス・機能改善の取り組みが大切であるとし、またパイロットプロジェクトからSOA実適用・拡張適用段階に入る企業では、全社的なガバナンスやサービス定義、管理などのプロセス・体制の整備が必要であることが示された。
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