現在、平均的な公衆無線LANサービスの利用料金は月額1500円。以前と比べればかなり安くなったが、例えば社員20名に使わせようとすると、ランニングコストは年間36万円。現状のサービス内容を考えると、これを高いとみるか、安いとみるかはかなり微妙なところだ。
だが、世のモバイルのニーズは高まるばかりだ。特に、ほとんどの時間を社外で過ごす営業マンにとって、公衆無線LANサービスをうまく「止まり木」にすれば、わざわざ会社に戻って報告書を書いたり、明日の資料をそろえたりする無駄な時間が省ける。このような業務合理化につながってこそ、真の投資効果がある。
そのためには、ある程度のノウハウが必要となる。公衆無線LANサービスをビジネスに使うためのチェックポイントをまとめてみた。
メールとWebアクセスだけでなく、社内LANとのやり取りを行うならVPNは必須だろう。現状では、VPNの対応を正式にうたったサービスは、NTTコミュニケーションズの「ホットスポット」のみ。ただし、VPNの方式や使用している製品によって問題が発生する可能性もある。事前に動作確認を行うため、まずはワンデーサービスで、うまく使えるかどうかをチェックしておこう。その他の事業者のサービスを使う場合でも同様だ。なお、ホットスポットでは法人向けサービスも用意している。
電車ではなく、主にクルマで都内を移動する営業マンなら、今は東京の山手線内を面展開する「livedoor Wireless」が有力だ。現在2500APを展開しており、街中の電柱などにAPが設置されているので車中からアクセスできる。ただし、山手線の外側では利用できない。
社員が社外で行動するエリアが広範囲で、できるだけ多くのスポットを使いたい、という場合は各事業者のサービスを横断的に使える「ワイヤレスゲート」が有力だ。
また、「BBモバイルポイント」や都内で展開している「livedoor Wireless」、さらにNTT東西がフレッツユーザー向けに提供している「Mフレッツ/フレッツスポット」も利用できる(全部で1万1000AP)。基本料金は210円/月で、あとは利用した日単位に299円/日が課金される。「Mフレッツ/フレッツスポット」を利用する場合でも、月額料金が525円にアップするだけだ(ただし、別途フレッツスポットの利用料金が追加され、NTT東日本/西日本から請求される)。
対応エリアの確認も重要である。事業者ごとに調べるのは大変な作業だが、事業者を横断的に検索できる「RBB TODAY ホットスポット検索」などのサービスを利用すると便利だ。地域によってどの事業者が強いのか、その傾向が分かるはずだ。なお、同サービスでは携帯電話向けの検索サービスも提供している。移動時にスポットを見つけるのに重宝する。
◆携帯電話向け検索サービス
以上のポイントを踏まえて、公衆無線LANサービスを選び、モバイルの投資に見合うメリットを引き出していただきたい。次回は、無線LANのセキュリティの問題について、今一度しっかりと考え直してみることにしよう。
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