Sun、スクリプトサポート加速はNetBeans 6.0でも

Sun Microsystemsのアプリケーション統合開発環境であるNetBeansは、新版でさらなるスクリプトサポートを強化した。その真価はどこに向けられているのか?

» 2007年05月09日 07時00分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 米Sun MicrosystemsとNetBeansコミュニティーは現地5月7日、年次カンファレンスとなった「2007 JavaOne」開催に先立つSun主催の「NetBeans Day」イベントにおいて、「NetBeans 6.0」IDE(統合開発環境)のプレビュー版をリリース発表する。

 Sunによると、NetBeans 6.0はJavaとC/C++のサポートだけにとどまらず、動的スクリプティング言語のRubyとJavaScript用の機能や、最新のJava規格のサポートも提供しながらも、NetBeansの使いやすさと高い生産性という特徴を維持しているという。

 サンフランシスコにあるモスコーニセンターで開催中の「CommunityOne Day」では、Sunをスポンサーとしてコミュニティー関連の各種イベントが丸1日にわたって企画されており、NetBeans Dayもその1つである。

 Sunは「NetBeans GUI Builder」の機能強化も発表する。「Beans Binding」(Java Specification Request[JSR]295)や「Swing Application Framework」(JSR 296)などの新しいデスクトップ技術のサポートなどが主な強化点だ。また、開発者に斬新なソリューションを提供してきたNetBeansの歴史を基盤とするNetBeans GUI Builder(従来のコードネームは「Matisse」)は今後も、Swing開発者がグラフィカルユーザーインタフェースを構築するのを支援するという。

 さらにSunは、Microsoftなどの企業と同様、動的言語のRubyのサポートも強化している。RubyのJava用インプリメンテーションとしてSunの2名の技術者が管理する「JRuby」がNetBeansのRubyサポートに追加されており、開発者は「Ruby on Rails」を既存のJavaコードと一緒に使用することができる。今回のリリースのそのほかの改良点としては、コード編集/検査/検索機能の改善、ローカル履歴、Subversionの統合サポート、標準ディストリビューションへの広範なプロファイリング機能の統合などがある。

 またNetBeans 6.0では、「Visual Web Pack」などのパックに含まれるすべての機能が1つのインストールプログラムで導入される。この新しいインストールプログラムを使えば、開発者は自分が必要とするツールだけを選択して開発環境をカスタマイズすることができる。Sunによると、単一のNetBeans 6.0インストーラにより、開発者の環境を素早く構成することができ、IDEに機能を追加するのに複数のパックをインストールする必要がなくなるという。

 Java EEベースのリッチなインターネットアプリケーションの開発/配備用として標準に準拠したAJAXベースのソリューションを提供しているプロバイダーであるICEsoft Technologiesでは、NetBeansが同社の開発者向け製品の重要な一部となっている。同社でマーケティングと製品管理を担当するロバート・レパック副社長は、「NetBeansおよびVisual Web Packとの連携は、当社が新規顧客を獲得・確保するための戦略の重要な要素である」と話す。

 「ICEfacesでは、AJAX対応のJSFアプリケーション開発用に真のRAD(Rapid Application Development)環境を提供するために、Visual Web Packのデザイン機能を最大限に活用している」(レパック氏)

 「この24カ月間、NetBeansへの関心が急速に高まっており、その普及率は毎年倍増している」とSunで開発者プログラムを担当するジート・カウル副社長は話す。「NetBeans 6のリリースで、この勢いがさらに加速するものと期待している。これはSunのオープンソース構想の圧倒的な勢いを示す例の1つに過ぎない。多数の追加機能と新しいインストール環境を備えたNetBeans 6.0は、開発者が必要とする唯一のIDEである」。

 Sunでは、「Try and Buy」プログラムを5月8日から6月12日まで提供するほか、Java/Solarisアプリケーションの開発用にSunのシステムのフルセットを60日間、無償で試用できるサービスを開発者コミュニティーに提供する。さらに、プログラミングに関する質問に答える無制限の開発者向けオンラインサポートおよび開発者向けのオンライントレーニングコースを「Sun Developer Service Plans」の2つの主要サービスとして用意する。ユーザーが試用システムを購入した場合、Sun Developer Service Planパッケージを購入する際に定価の25%割引の適用を受けることができる。このパッケージには、製品に関する電話/エスカレーションサポートやトレーニング受講権などが含まれるという。

 さらにSunによると、NetBeansでは単一インシデントから包括的な開発者サポートまでの段階的なサポートサービスを提供する予定だとしている。

 2007 JavaOneは現地5月8日から11日まで、サンフランシスコのモスコーニセンターで開催される。

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