2007 JavaOneのトピック「JavaFX」とは何か(2/2 ページ)

» 2007年05月11日 13時04分 公開
[渡邉利和,ITmedia]
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 JavaFX Padというエディタでこの部分を開くと、ボタンのイメージを確認しながらスクリプトを記述できる。簡単に説明すると、画像として用意されたギターピックのイメージを取り込んでボタンのオブジェクトを作り、そのアトリビュートとしてラベル等を定義していくことで、ボタンの表面のテキストなどを簡単に書き換えられる。また、アニメーションの動作は、あらかじめ典型的なものがコマンドとして用意されているので、これをオブジェクトに対して適用するだけでアニメーションが実行できるようになるというわけだ。

 機能としては、JavaでおなじみなSwingを利用すれば、より高度な制御が可能になるが、記述が容易になることで、高度な知識をもつ専門的な開発者以外にもグラフィカルなWebコンテンツの作成が可能になる、という点がJavaFX Scriptの狙いとなる。

JavaFX Mobileの登場

 JavaFX Mobileは、スマートフォンを想定したランタイム環境となる。前述の通り、将来的にはさまざまな機器向けに同様の環境が提供される計画だ。

 大きく見た場合のJavaFXの意義としては、現在のJava MEと同じということになるのだが、実装面ではJava MEの上位に位置するミドルウェアフレームワークを用意し、JavaFX Scriptのような高水準な命令を利用したプログラミングを可能にすることで、アプリケーション開発者が機器の違いを意識しなくても、フレームワークがその違いを吸収してくれる、ということになると思われる。中核となっているのは、Sunが買収したSavaJe Tecnnologiesの技術である。

 Sunから提供される完全なソフトウェアスタックだが、実際にはこれにOEMベンダーがさらに独自の拡張やチューニングを加えて製品化することが想定される。ゼネラルセッションのデモではNokiaやMotorolaのロゴが付いたデバイスが使われていたのだが、現時点ではまだ契約が完了したパートナーはなく、今後契約獲得に向けた具体的な取り組みを強めていく計画だという。当然ではあるが、日本を含むアジア圏の機器メーカーや通信キャリアがパートナーとなることを期待しているという。

 スマートフォンということではMicrosoftのWindows Mobileと競合すると見てよいだろう。具体的な実装製品がいつ頃登場するかはまったく予想が付かない段階だが、日本市場では一時期忘れ去られた存在になりつつあったPDAがスマートフォンとして復活しつつあり、タイミングとしても悪くはない。さまざまな製品が機能や性能、価格で競争する健全な市場が形成されることを期待したい。

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