5月11日、BIベンダーの代表的企業の1つ、ビジネスオブジェクツ社CEO、ジョン・シュワルツ氏が来日会見を行った。シュワルツ氏からは海外のBI活用事例がいくつか紹介されたが、Web2.0ならぬBI2.0の波が押し寄せているという。
「日本のBI市場はこれから。欧米市場でも、ERPが多くの企業に組み込まれた後、しばらくして市場が活性化した。日本企業のERP導入はかなり進み、データも一定量、蓄積されてきたはずだ」とシュワルツ氏は意気揚々と語る。
同社の2007年度第1四半期の総売上高は、対前年比20%増の3億3400万ドル。ライセンス売上は1億3700万ドルで対前年比9%増、サービス売上(保守、グローバル プロフェッショナル サービスを含む)は1億9700万ドルで、対前年比29%の伸びだという。
ただし、これまでも日本では「BIソリューションが注目を集め始める」という話が浮かんでは消えてきた。早くから「データ経営」の重要性に気づき、導入を進めてきた先端企業もあったが、爆発的なブームとはいかなかったようだ。関連記事
会見でシュワルツ氏は欧米での同社製品の導入事例をいくつか上げた。米国の医療器具のサプライヤ、パリのディズニーランド、米国の農業共同組合などを引き合いに出し、企業が直面している5つの革命について説明する。
「ユーザー、アプリケーション、ネットワーク、コミュニティー、プラットフォーム、それぞれのセグメントで革命が起こっている。これらの変化はBI2.0ともいうべき新しい波だ。その先端を当社は走っている」
先端を走っている理由をシュワルツ氏は次のように話した。
「当社の製品は、いかなるデータとも高い親和性を持っている。定型、非定型を問わず、ユーザーが蓄積しているあらゆるデータを経営に役立つ道具に変えることができる。専門的な知識を持たなくても、企業のユーザーは当社の製品で独自の分析を試みることができるのだ。もちろんモバイルにも対応している」
販売、生産など、多くの国内企業で数字を分析するときにベースとなっているのがExcel。同社はExcelのデータとも親和性が高い。関連記事
シュワルツ氏によれば、グローバルでのBI市場は2兆円を超えるものになるという。日本で火が付くのも時間の問題ということか。今回の会見では、欧米の事例が紹介されただけだったが、日本国内でも同社製品は電機、流通、情報通信、フードサービスなど幅広い業界で導入され、相次いで発表されている。「Excelで数字を管理していたが限界に来ていた。IT部門に頼らずデータ分析できる環境が必要だ」とコメントする企業が多い。関連記事
日本法人社長で米国本社副社長の印藤公洋氏は、「日本企業は社内のシステム統合に忙しく、そこで得られた情報を活用することに手が回らなかった。しかし見える化、という言葉が盛んに使われるようになってきていることから考えても、SOAの技術などを活用して、あらゆるデータを素早く取り出し、経営や業務に生かす時代はもうやってきている」と話す。
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