インタビュー
» 2007年05月15日 08時00分 公開

「ワイヤレス」ではない、「モビリティ」だ――WLANの固定概念を取り払うアルバ(1/2 ページ)

「ワイヤレスとセキュリティは両立できる」――。アルバネットワークス日本法人の土本社長はこう強調する。この二律背反ともいえる要素を結びつけようという、従来のネットワークの固定概念を覆す同社のメッセージは市場に受け入れられるのか。

[堀見誠司,ITmedia]

 米アルバネットワークスは無線LANの新興ベンダー。無線LANスイッチはマイクロソフトなどで採用されるなど多くの企業や団体で導入が進んだ結果、ビジネスも好調で今年3月にはNASDAQ上場を果たした。最近ではヒューレット・パッカード(HP)やオラクル、日立製作所といった大手と提携し、セキュリティ分野でのソリューションを強化しながら国内での足場を固めつつある。4月11日付けで日本法人新社長に就任した土本良司氏に話を聞いた。

画像 土本氏はAT&Tやスリーコム・ジャパン、エンテラシス・ネットワークスといった企業のマーケティング部長や社長を歴任した

ITmedia 日本法人が設立されたのは2003年で、まだこれからが本番というところですが、改めて今後のビジネス戦略を教えてください。

土本 この点について、企業ネットワークの今後の姿を考えるとよいでしょう。固定化されたポートにアクセスコントロールをかけるという従来の“ポートセントリック”のアプローチでは、2010年に全従業員の2割を占める在宅勤務者に対し、同様のコントロールは不可能です。しかし、ユーザーがどこにいてもオフィスと同じネットワークセキュリティを実現しなければ、BCP(ビジネスの継続計画)にかかわってきます。そこで、経理の人間ならその人だけのネットワーク環境をどこでも実現する、ユーザーの役割に応じた“ユーザーセントリック”のアクセスコントロールが必要となります。

 つい先日も聞いたのですが、無線LANは便利だけどセキュリティが心配だよくと言われる。むしろわれわれは逆に「ワイヤレスだからセキュアだ」と考えています。これがビジネス展開する上での基本スタンスです。

 次にあるのは、モビリティとセキュリティという考え方です。両者はトレードオフの関係にあるとされ、これがCIOの悩みになっています。しかし、アルバはそれらを両立させることができるのです。2000社以上の各業種でのトップ企業がわれわれのソリューションを導入していることが、その成果と言えます。「Fixed」から「Mobility」へのパラダイムシフトを推進することがアルバの役目であり、評価につながると考えています。

ITmedia そのモビリティがユーザーセントリックなネットワークを指すのでしょうか?

土本 見方次第ですが、ユーザーセントリックな見方をすることでモビリティが可能になるといえます。欧米の企業ではワイヤレスシステムの導入が緩やかに進んでいますが、日本では先ほどのワイヤレスではセキュリティが担保されないという固定概念が原因でここ数年、導入の伸びが低調です。ところが、ワイヤレスだからこそセキュリティも保たれることを顧客に理解してもらえれば、ある時期を境にCIOの悩みはなくなり、国内でもワイヤレスの導入が急激に伸びるようになります。

 その大きなターニングポイントはいつ訪れるのかは定かではありませんが、BCPにはモビリティが必要だという理解が徐々に浸透している手応えはあります。今後の啓もう活動はトップダウンで行いますが、その戦略を今、社内で練っているところです。

ITmedia 無線LAN上でもユーザーのアイデンティティに基づいたセキュリティコントロールを行おうという活動の結果、日本HPや日本オラクル、日立製作所との協業に結びついたわけですね。

土本 モビリティとセキュリティの両立、そしてユーザーセントリックの考え方を実践する上で、アルバ1社で対応できるわけではなく、エコシステムとしてのパートナー戦略が必須です。HPの場合は検疫システム、オラクルの場合はID管理、日立の場合はロケーション管理と、セキュリティの領域で協業体制ができました。例えばオラクルとのソリューションでは、SOX法の観点でユーザーをトラッキングする「Identity Management Suite」との連携システムを構築して、無線LANセキュリティを強化しました。既存の製品と連動させる提携戦略を拡大して、うまく全体が機能する仕組みを作っていきたいと考えています。

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