「ワイヤレス」ではない、「モビリティ」だ――WLANの固定概念を取り払うアルバ(2/2 ページ)

» 2007年05月15日 08時00分 公開
[堀見誠司,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ITmedia 昨今のオフィスのフリーアドレス化やテレワークの普及はこうしたビジネスの追い風になりますか。

土本 間違いなくそうなると思います。こうした動きがなければ、今後もセキュリティの問題を抱えながら仕事をすることになるでしょう。先ほど述べたように、「在宅しているからこの業務はできません」ではBCPは成り立たないのです。在宅勤務者がセキュアに仕事をするためには、われわれのようなモビリティソリューションが不可欠になります。

音声の問題はすでに解消されている

ITmedia 音声は今、無線LANで重要なアプリケーションの1つになっています。アルバの製品についても、携帯電話を使ったモバイルセントレックスの開発案件が増えていますが、通話品質などは改善されていますか。

土本 日本は特に携帯電話の先進国として、VoIP(Voice over IP)の利用が当たり前のようになってきています。2、3年前、技術的な問題により音声の品質が十分でなかったのは事実です。しかし現在、携帯電話にもIEEE 802.11gの無線LAN機能が採用されるようになり、またArubaOS(無線スイッチ用のOS)ではIEEE 802.11eをサポートするなど、QoS(サービス品質)やバッテリーの問題も解決されており、IEEE 802.11無線LANで音声アプリケーションを扱う上での障害はほぼなくなったと思います。あとは、いかに通信速度を上げながらデータ/音声の統合を進めるかは、われわれメーカーのやり方次第です。

画像 「ユーザーセントリック・ネットワーク」について講演する米アルバネットワークスCEOのDominic Orr氏

ITmedia 強力なライバルがいて、ドラスチックに変化する国内のワイヤレス市場において、シェアをどのように伸ばしていきますか。

土本 販売戦略としては、チャンネル販売を行っているので、パートナーを通じた市場開拓が中心になります。まず音声とデータ統合という視点で見たときに、NEC、CTC、ユニアデックス、富士ゼロックスといったキー・パートナーそれぞれが得意とする分野を通じて開拓していくというのがあります。もう1つは、教育機関、金融など業種ごとに強みを持つパートナーを通じての展開です。

 それから大手ベンダー製品との差別化については、他社の、企業買収などで獲得した製品群では複数の製品をそろえなければセキュリティ、管理性、操作性で満足できないのに対し、われわれの製品「Mobility Controller」(無線LANスイッチ)はワンボックスで必要な要素をすべて提供していますし、コスト面で有利です。こうした専業ベンダーならではの強みを既存のパートナー企業に評価してもらえるよう、提案しています。

ITmedia 業種で見るとどこにフォーカスを当てていますか。

土本 販売対象としては、大きく分けてオフィスワーカーと、“Non-Carpeted Area”、つまり小売業でいえば店舗や倉庫などカーペットを敷いていないようなところを指す、業種別のユーザーがあります。やはり中心はオフィス向けになりますが、業種別の領域も、それぞれが得意とするパートナーを通じて段階的にチャンネルを拡大していきたいですね。

ITmedia 土本社長ご自身、ワイヤレスのビジネスにかかわってどこにおもしろみを感じますか。

土本 「モビリティをサポートしないネットワークとして無意味だ」という弊社CEO(Dominic Orr氏)の言葉を最初に聞いたとき、わたしは20年前にメインフレームからクライアント/サーバへとコンピュータのアーキテクチャーが変わったのと同じ変化がネットワークに起こると直感しました。世間ではワイヤレス、すなわちセキュリティに危険があるという固定観念ができあがっているので、わたしはワイヤレスという言葉はあまり好きではありません。これをモビリティという言葉に置き換えることで少しでもユーザーの抵抗感が小さくなるのなら、マーケットでアルバのメッセージがより理解してもらえるかもしれない。

 この言葉を市場にいかに浸透させるかということが醍醐味だと思います。モビリティはテクノロジーではなく、ビジネスに直結する概念、ポリシーです。この「モビリティ」が定着するころに、ネットワークが先ほどのターニングポイントを迎えることになるでしょう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ