au電話網を利用していすゞ自動車が提供する商用車管理サービスがバージョンアップし、リアルタイムなドライバー支援が可能になった。
KDDIといすゞ自動車は5月31日、商用車向けテレマティクスサービスをリニューアルした新「みまもりくんオンラインサービス」を開始すると発表した。KDDIのau携帯電話網を利用して、全国を走行する商用車とリアルタイムに情報をやり取りできる。
みまもりくんオンラインサービスは、いすゞ自動車がKDDIのau携帯電話網を利用して2004年から提供する運輸業界向けの自動車運行管理サービス。トラックのセンサーで収集された走行情報がau網を経由してKDDIのセンターに集約され、センターから事業所の運行管理者に提供される。
管理者は、個々の車両の走行状態を詳しく分析することで、燃費改善による燃料コストの削減やドライバーへの安全運転指導に役立てることができ、いすゞ自動車によれば現在約1万台のトラックがこのサービスを利用しているという。
新しいみまもりくんオンラインサービスは、いすゞ自動車とKDDIが新たに開発したインターネット対応の「みまもりくんコントローラー」を利用する。これによりドライバーに対してリアルタイムに運行支援やメール連絡を行えるようになった。
みまもりくんコントローラーには、音声案内機能と液晶画面に省燃費運転の度合いを示すエコマーク表示機能が搭載され、ドライバーや同乗者がリアルタイムに省エネ・安全運転を行っているかどうかを確認することができるという。
例えば、ドライバーが急発進や急加速した際にコントローラーから危険や燃費に影響を与えると音声で警告する。GPSと連携して、「この先の道路は事故多発路線です」というようにドライバーへ注意を促がす。また、運行管理者からドライバー宛てにメールを送信することができ、着信したメールはコントローラーの画面に表示される(走行中は不可)。
メンテナンス機能やセキュリティ機能も追加され、メンテナンス機能ではエンジンオイルやバッテリ、タイヤ、エアクリーナーなど10部品の交換時期をドライバーと運行管理者に通知する。セキュリティ機能は、エンジン始動前に管理者が設定したパスワードをコントローラーに入力するもので、入力エラーが起きると管理者のPCや携帯電話メールに盗難の可能性があると通報する。
みまもりくんコントローラーは、国土交通省が車両総重量8トン以上、または最大積載量5トン以上の大型車両に装備を義務づけているデジタル式運行記録計(通称:デジタコ)の指定を取得している。コントローラーには、GPS機能を持つKDDIの通信モジュールが内蔵され、国内では初めてデジタコの情報をリアルタイムに事業所へ送信できるようになった。従来のデジタコは、メモリーカードにデータを記録するため、長距離走行時はデータの回収に時間がかかるほか、メモリカードの紛失や不具合によるデータの欠損などのリスクがあるという。
いすゞ自動車によれば、従来のサービスを利用して燃費を約20%改善させた事業者もあるという。「車両によっては年間20万km以上も走行するため、100万円近くも燃料経費に差が出る」(いすゞ自動車の篠原彰上席執行役員)。新サービスでは、環境走行や安全走行をさらに徹底することができるため、20%以上の改善効果が期待できるとしている。(編中:燃費は車両状態やドライバーの技量によって大きく異なります。)
KDDIの小野寺正代表取締役社長兼会長は、「環境に貢献するためにも法人向けモバイルソリューションを展開していく」と述べる。また、いすゞ自動車の井田義則代表取締役社長は、「みまもりくんオンラインサービスは輸送品質を高め、ユーザーは他社に対してアドバンテージを築けるだろう」と述べた。
みまもりくんオンラインサービスはいすゞ自動車の販売店で通じて提供される。1台当たりの販売価格は、初期導入費が7万9980円(税込み)、月額利用料が945円(同)。オプションで、みまもりくんコントローラーのインターネットデジタコ機能を利用する場合は3年間パックで2万8000円、荷室内部の温度を知らせる「温度お知らせ」が525円、運行ルートの軌跡通知が315円、指定した場所以外でドアが開いた場合に通知する「指定位置外ドア開お知らせ」が315円となっている。
初年度目標販売台数は1万台で、いすゞ自動車ではタクシーなどトラック以外の商用車向けサービスや一般乗用車向けサービス、また、海外でのサービス展開も視野に入れているという。
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