ダイナミック・コンタクトセンターでライバルの追従を許さないジェネシスG-FORCE 2007 Report(2/2 ページ)

» 2007年06月20日 16時28分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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プラットホームの提供からベストプラクティスの提供へ

 ダイナミック・コンタクトセンターは、顧客対応という業務を単純に効率化するだけのものではないとセグレ氏は言う。例えば、インバウンドのコールセンターの負荷が低ければ、問い合わせてきた顧客との話を展開させて販売のためのチャンスに変えたり、インバウンドから販売拡大のキャンペーンを行うアウトバウンドコールに切り替えるといった対応で、コンタクトセンターをセールスの起点に変化させることも可能となる。

「対応を一定にするのではなく、需要に応じて変化させるというのがダイナミック・コンタクトセンターのコンセプトだ。さらにこれを、自動で制御できるのが特長だ」(セグレ氏)

 手動で切り替えるというのであれば現状でも機能的には可能だが、実際に業務をスムーズに実施する上ではあまり現実的ではない。需要に応じたダイナミックな対応とそれを自動制御できるという点が、ダイナミック・コンタクトセンターが従来のコンタクトセンターと大きく異なるところなのだ。

「企業によってそれぞれ戦略が異なるように、コンタクトセンターの対応もさまざまなものがある。何を重視するかは企業ごとに違う。コンタクトセンターの品質と低コスト化は、従来はどちらか一方しか選択できなかった。しかし、ダイナミック・コンタクトセンターは低コストでもあり、収益を向上させることも可能だ」(セグレ氏)

 新しい顧客を獲得することで業績が伸びる企業もあれば、既存顧客との取引を拡大することで成功する企業もある。こうした企業において、コンタクトセンターですべて同じ対応をすることがベストではない。仮に既存の顧客を大事にすべき企業であれば、CRMシステムと連携し、コールセンターの負荷が高いときでも、重要な顧客にはスキルの高いエージェントをアサインして丁寧な対応をする。一方あまりビジネスの期待が持てない顧客には、コールバックなどの方法を用いて顧客満足度を下げない範囲で適宜対応する。これを瞬時に判断し実施するには、ルールに基づいた自動化がなされている必要があるだろう。

 Genesysは、この新しいコンタクトセンターのコンセプトを、製品として提供するだけではないという。同社は世界各国でコンタクトセンターの成功経験の蓄積があり、現在は顧客にとってのベストプラクティスの提供に注力している。実際、全世界における製品のライセンス販売とコンサルティングなどのサービスビジネスの売上げ比率は50%対50%ほどに変化しているとのこと。サービスエンジニアリングの部隊では、ベストプラクティスを理解しドキュメント化することに注力、そのノウハウをもとにビジネスコンサルティング部隊では、ダイナミック・コンタクトセンターの提案と構築を行うコンサルテーションを実施するという、新たな2つの組織がここ2年間で立ち上がっているとのことだ。

「数年前までは、コンタクトセンターの柔軟なプラットホームを提供していた。そして、それをシステムインテグレーターなどが、顧客のシステムとして構築してきた。そしてここ2年ほどは、顧客にコンタクトセンターのベストプラクティスを提供している。顧客からも実践的なビジネスに対応する、コンタクトセンターのシステム提案を求められるようになってきた」(セグレ氏)

 とはいえ、Genesysがすべてのシステム構築を行うわけではない。パートナーとの協業体制はダイナミック・コンタクトセンターとなっても従来と変わらないという。むしろ、旧来のCRMシステムだけでなく、より多くのシステムとの統合が必要となるので、SIパートナーとの協力はさらに重要だという。

技術面では世界に先行する日本市場

 このような新しいコンタクトセンターの考え方は、欧米が先行しているかといえばそうとは限らない。各国・各地域で特色があり、どこかが突出しているというよりは、特長のある成功事例をほかの地域でも応用している状態だ。日本の状況については、ジェネシス・ジャパン 代表取締役社長の手塚文孝氏が次のように説明する。

「日本市場においては、欧米との技術的なギャップは現状まったくない。早くからVoIPの採用に積極的だったこともあり、むしろ技術面ではリードしていると言えるだろう。成功事例についても、世界市場を牽引するものがたくさん出てきている。1つだけ世界と異なるのは、オペレーショナルな部分であり、コンタクトセンターのエージェントスタッフのポジションが低いことが挙げられる。海外ではプロフェッショナルな職業だが、日本はむしろポジションが低い場合が多い。ここだけが、世界市場とのギャップとなっている」(手塚氏)

 最後にセグレ氏に現状のライバル企業はどこかと問うと、「トラディショナルなコンタクトセンターであればシスコやアバイヤがライバルだが、ダイナミック・コンタクトセンターが実現する新しいコンタクトセンターのカテゴリーでは、ライバルはいない」と言い切る。ダイナミック・コンタクトセンターは、従来のコンタクトセンターを超えたものだと言う。これをもって今後はホームワーカーなど新しいワークスタイルなどを活用できるような、まったく新しい市場をどんどん開拓していくと語った。

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