「β3の今が互換性確保の鍵となる」Windows Server 2008出荷に向けNECでキックオフ(2/2 ページ)

» 2007年07月09日 00時00分 公開
[岡田靖,ITmedia]
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新機能の積極的な活用と互換性確保への取り組み

 セミナーの第一部で、マイクロソフト システムテクノロジー統括本部 インフラストラクチャテクノロジー本部の瀧本文男氏は、Windows Server 2008の新機能の数々を紹介した。鈴木氏が説明したように、Windows Server 2008の新機能は、管理機能、堅牢性、柔軟性の3つの分野をそれぞれ向上する内容となっている。

瀧本文男氏 マイクロソフト システムテクノロジー統括本部 インフラストラクチャテクノロジー本部 システムプラットフォームグループ プリンシパルテクノロジースペシャリスト 瀧本文男氏

 管理機能の向上に関しては、運用管理の自動化や新たなサーバ構成が可能になったなどのポイントがある。

 「新たに設けられた『サーバー マネージャ』画面では、サーバ機能に関わるすべての機能を管理できるようになった。イベント管理では、イベントビューアからタスクを作成し、イベントをトリガとしたタスク実行も可能になっており、障害対応を自動化することもできる。また、UNIXのシェルに似た機能を実現する「Windows PowerShell」も用意されており、スクリプトを利用した高度なタスク実行などが可能になっている。そして、Windows Server 2008では、最小限のコンポーネントだけをインストールする『Server Core』構成も可能になった。Active Directoryやファイルサーバ、プリントサーバなど、限定的な用途に適している。コンポーネントを削減することで、セキュリティ更新プログラムの削減、管理・保守の効率化、信頼性向上につながる」(瀧本氏)

 堅牢性の向上に関連する機能としては、製品開発プロセスが強化され、デフォルトのセキュリティが高まっているとした。また、OSインストール中にはファイアウォールがイネーブルになる前に攻撃を受けることがないように保護するシールド機能も設けてあるという。

 「新たに搭載されたNetwork Access Protection(NAP)は、包括的な検疫フレームワークを提供するものだ。持ち込みPCに対する危険性を排除することができる。OSのアップデート、設定、ウイルス対策などの複数のコンポーネントを検証し、コンピュータが健全な状態にない場合は、ネットワーク利用を制限し、その修復手段も提供する」(瀧本氏)

NAP NAPの動作概要

 システム柔軟性向上に関しては、Windows Server Virtualizationの大幅な機能向上や、拠点間通信を想定した「ブランチオフィス シナリオ」の搭載、.NET Frameworkの強化などを挙げた。

 「現行のWindows Server 2005では、ホストOSの上にVMがあり、さらにその上にゲストOSが乗る構造となっている。それに対し、Windows Server 2008でのWindows Server Virtualizationは、薄いハイバーバイザ層の上にプライマリOSとバーチャルOSが動く形となる。また、64ビットやマルチプロセッサのゲストOSにも対応し、よりスケーラブルな仮想か環境が実現する。なお、これはWindows Server 2008と同時リリースでなく、OS本体のリリース後180日以内のリリース予定となる」と瀧本氏。

 セミナー第二部では、NECラーニングセンターの杉岡しづか氏が、NEC技術者向けに互換性を評価するための方法を解説した。ここでは、互換性に影響する点のうち、Windows Server 2008の特徴に深く関わる部分だけを紹介する。

杉岡しづか氏 NECラーニングセンター 杉岡しづか氏

 Windows Server 2008は、Windows Vistaとよく似た権限管理を行っている。例えば、「整合性レベル」(IL:Integrity Level)を3段階に設定し、低い権限ではシステム領域への書き込みができないようになっている。一方、標準ユーザーが管理者権限を必要とするようなアプリケーションやタスクを実行する際には、一時的な権限昇格の仕組みも用意されており、柔軟に利用できるよう工夫されている。

 しかし、アプリケーション開発に際しては、こうした権限管理への対応をきちんと行わねばならない。

 「既存アプリケーション向けの一時的な互換性機能は設けられているが、それに依存してしまわないように」(杉岡氏)

 また、Windows Vistaとの違いもある。デフォルトの機能設定が異なる部分がいくつかあるためだ。またほかにも、検証の際に気をつけるべき点があるという。

 「Windows Server 2008では、明示的にインストールしなければ構成されないコンポーネントが数多くある。検証の際には、どのコンポーネントを必要とするのか、きちんと確認した上で行っていただきたい」(杉岡氏)

 NECグループ内におけるWindows Server 2008互換性検証は、マイクロソフトの開発ロードマップに沿ってスケジュールが決められている。それは、β3の検証期間である7月末がリミットだという。

 「β3以降は、OSの完成度を高めるため、大きな変更を加えないことになっていると聞く。したがってNECグループとしても、β3の期間中にきちんと検証を行い、OS側の対応が必要だと判断される場合は迅速にマイクロソフトへ問い合わせを行っていきたい」(杉岡氏)

まもなく開催! 東京ミッドタウン・ホールにて

Windows Server 2008 World Conference


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