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» 2007年07月12日 07時00分 公開

ITトレンドの“眼”:IT業界「三つどもえの関係」に異変の予兆

ハードウェア企業、ソフトウェア企業、ネットサービス企業――これらの関係に新たな異変の兆しが見えてきた。はたして、これからの勝ち組はどこか。

[松岡功,ITmedia]

 日本オラクルが、先ごろ開いたプレス/アナリスト懇親会で中長期の事業戦略を披露した。その内容は既報のとおりだが、改めてOracleがここ数年、拡大してきた事業領域の広がりに驚かされた。聞けばPeopleSoftを買収した2004年暮れ以降、ミドルウェアやアプリケーション分野でM&Aによって獲得した企業は30数社に上るという。M&Aは今後も積極的に行う構えで、いよいよ「データベース最大手」から「ソフトウェア最大手」のベンダーへ向けて、エンジン全開モードに入った格好だ。

 日本オラクルの事業戦略説明の中で筆者が特に興味深かったのは、「IT業界の三つどもえの関係」と、ソフトウェアをサービスとして提供する「SaaS」(Software as a Service)への取り組みについてだ。この三つ巴の関係とは、従来から協調と競争関係にあったハードウェア企業とソフトウェア企業のそれぞれのビジネスを、新たに登場してきたネットサービス企業が侵食し始めているという構図である。

 その中でも、特にSaaSは、ネットサービス企業がソフトウェア企業のビジネスを侵食する象徴的なトレンドとみられているが、同社の新宅正明社長は「SaaSは顧客を新しいソフトウェア利用の世界へ誘導していくトレンド。決してソフトウェア企業のビジネスを脅かすものではない」との認識を示した。その上で、SaaS専業ベンダーとも一線を画し、「Oracleは企業固有の業務にも対処できる自社保有型とSaaSのハイブリッドモデルで顧客の課題解決を支援する」という独自のスタンスを強調した。

異変の予兆を示す2つの提携話

 IT業界の三つどもえの関係――。日本オラクルの事業戦略を聞きながら、筆者は特にソフトウェア企業とネットサービス企業の間でここ最近、話題になった2つの提携話が脳裏に浮かんだ。

 1つは、6月上旬に発表されたネットサービス最大手のGoogleとSaaS専業最大手のSalesforce.comの提携だ。主軸はGoogleの広告配信サービスとSalesforce.comのCRM(Customer Relationship Management)アプリケーションを連携させたサービスの展開だが、両社は同サービスを基に世界43カ国を対象に販売や技術協力、共同マーケティングも行い、さらに幅広い分野で協力していく姿勢を表明している。

 こうした動きにある業界関係者は、「GoogleとSalesforce.comは事業面で補完関係にあり、特に企業向けビジネスに本格的に打って出たいGoogleはSalesforce.comを取り込みたいはず。もし、そうなれば市場の勢力図は大きく変わる」と占う。

 もう1つは、5月上旬に衝撃的なニュースとして世界を駆けめぐったソフトウェア最大手のMicrosoftとネットサービス大手のYahoo!の合併話だ。狙いは、ひとえにネットサービスで巨大化するGoogleに対抗するため。結局その後、交渉は不調に終わったが、昨年来この両社の合併話はくすぶり続けている。

 今回の合併話が消滅した後にMicrosoftの首脳陣に会ったという業界の有力者によると、「MicrosoftはGoogleに対して相当の危機感を抱いており、Yahoo!との合併もあきらめてはいないと感じた。橋渡し役として(Yahoo!と関係が深い)孫正義氏(ソフトバンク社長)にも大きな期待を寄せているようだ」という。

 はたしてIT業界の三つどもえの関係は、これからどう動いていくのか。勝ち組はどこか。合従連衡をめぐる勢力争いはますますし烈になりそうだ。

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