パッケージとの格闘――見える化の端緒を開くERPパッケージ導入事例(2/2 ページ)

» 2007年07月12日 11時10分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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決め手は多段階でのBOMの設定

 97年以降、軽いとはいえない負担をして導入したシステムを何とか実効的なものにしようと、同社ではあらゆる手段を使って情報を集め、システムの改善を繰り返してきた。しかし、各工程での生産原価の把握というテーマは未解決のままだった。

 この間、SyteLineという製品自体も取り扱う会社がいくつも変わっていき、ハウメット・ジャパンはその都度相談を持ちかけていた。

 「米国本社ではまったく別の製品を活用していました。しかしいろいろと調べてみると、われわれが目指すものは実現していないようだった」と太田氏。しかしそうこうしている間にSyteLineはインフォア・グローバル・ソリューションズ社が扱うことになっていた。そして太田氏は改めて日本法人である、日本インフォア・グローバル・ソリューションズ(以下日本インフォア)に相談をする。ソフトだけでなく、基幹システムに関わるサーバーやデータベースも世代的に古くなっていたので、改めて刷新することも視野に入れていた。

 「製造業ではBOM(部品表)の管理が適正な原価把握には欠かせないものになっています。工程ごとにBOMの内容は変化していきますが、われわれが目指す適正な標準原価の設定という目標に、システム上のBOMの内容を変えることで、かなり近づけることが分かったのです」と太田氏。この刷新には日本インフォアのスタッフからの提案も大きな力になったようだ。

システム概要図

 「BOMを多段階に設定して、工程が進んでいっても元のBOMだけでなく、通過した工程でのBOMも紐づけるようにしたのです。そうすることで、工程ごとで起きている原価率の膨らみ方がはっきりと見えるようになってきました」(太田氏)

 工程ごとの原価率の変化を把握できるということは、業務プロセスの細かな部分で、何を改善していかなければならないのかがはっきりしてくるということだ。これをきっかけに同社では、精密な予算に基づいた、生産計画の策定に挑戦しているという。

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