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» 2007年07月12日 11時10分 公開

ERPパッケージ導入事例:パッケージとの格闘――見える化の端緒を開く (1/2)

サッカー日本代表オシム監督の嫌いな日本語は「しょうがない」だという。業務のIT化でもしょうがないで済まさない粘り腰が重要だ。

[大西高弘,アイティセレクト編集部]

導入前の課題

標準原価を設定し、計画的な生産、不良率の低減を図りたかったが、適正な標準原価を割り出すことに苦慮していた。また、基幹システムと周辺のハードが老朽化し、刷新する必要があった。


導入後の効果

ベンダーの協力もあり、BOM(部品表)を多段階式にすることで、正確な原価率を割り出すことができるようになった。さらにシステム刷新により、データの抽出がしやすくなり、現場での活用が容易になった。


 ハウメット・ジャパンは、主に発電用ガスタービン等の精密鋳造品を製造・販売している。親会社である、米国ハウメット社は航空機用ジェットエンジンおよび各種ガスタービン用精密鋳造品分野において世界でトップの技術と生産量を誇る。ハウメット・ジャパンは日本国内トップクラスの精密鋳造メーカーとして、日本を代表する重工メーカー各社に多くの製品を提供している。

 同社は、2006年3月から8月までの約5カ月間をかけてERPシステム、Infor ERP SyteLineのバージョンアップ作業に取り組んだ。

 今回導入したのはバージョン7だが、それまで活用していたバージョンは「2G」と称されるもので、導入したのは1997年である。約10年もの間、同社は「2G」のカスタマイズを重ねて進化させてきたのである。そのあたりの事情を同社代表取締役社長の太田道雄氏は次のように語る。

 「97年当時は、生産や経理の現場ではスタンドアロンのPCを使って表計算などをしている状況でした。そこにERPという考え方が広がり始めて、基幹システムを刷新して新しい仕組みを作ることで、現場も経営も効率的な仕事ができるようになると考えました」

ハウメット・ジャパン 代表取締役社長、太田道雄氏

ERPパッケージの導入で何を目指すか

 大半が手作業だった業務をシステムに合わせた仕事への変換ができるというのは、非常に魅力的だったわけだ。しかし太田氏には別の狙いもあった。それは正しい原価率の把握である。精密鋳造品の分野では、組み立て加工品とは違い、不良率が押しなべて高く、時には30%台に跳ね上がることもある。外に向かっては受注競争に打ち勝つことも大切だが、生産現場での不良品の発生による原価率の増減を把握することで、安定的な成長を実現させることができる。

 原価率を把握するにはまず標準原価を設定する。もちろん標準原価には「このレベルには達していなければ」という期待値的な側面もあるが、ある程度実態に即した数値を設定した上で、それに基づいて予算をたて、計画的な業績の向上を目指すのが「管理会計」を導入する目的だ。

 しかし、この原価率の把握がなかなかうまくいかなかった。実際の原価と標準原価との乖離が起こっていた。どうしてそれができないのかははっきりしていた。製造の工程ごとに生産原価を管理しきれないのだ。つまり不良の発生を工程ごとに把握することが当時のSyteLineの仕組みではできないでいたのだ。

 「10個の製品を作って3個の不良が出ています、というだけでは、7個分の製品によって3個分のミスをかぶっているということが分かるだけです。それでは具体的な指標にはならない。製品ごとの適正な標準原価を持つということは、安定した成長な予算に基づいた、具体的な指標を持つということです。その指標をもとに不良率を現実的に下げていかなくてはならない」と太田氏は話す。

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