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» 2007年07月12日 16時16分 公開

Oracleは“裸の王様”なのか?

市場の飽和化と不透明な組織成長率は、データベース業界の王者にとって苦難の種になるかもしれない。なぜ今、Oracleに疑問の声が上がったのか? その背景を探ってみよう。

[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Oracleはデータベース市場で47%のシェアを支配しているものの、成長の余地が乏しい飽和市場に向かって突き進んでいる――。一部のアナリストはこのように指摘する。

 表面的に見れば、Oracleの市場での地位は揺るぎないように思える。Gartnerの最近の調査によると、この1年間、データベース市場の平均成長率が14.2%だったのに対し、Oracleは同市場で14.9%の売り上げ拡大を達成した。また、7月11日には同社のデータベースの最新版となる「Oracle 11g」をリリースしている。しかもOracleは、同社の最大のライバルであるIBMとMicrosoftの両社の合計よりも大きな市場シェアを持っている。業界第2位のIBMのシェアはわずか21%であり、Oracleのシェアの半分にも達しない。

 同社が6月26日に行った発表によると、2007年のソフトウェア収入は23%増の142億ドルに達し、データベースとミドルウェアの売り上げは16%と増加。しかし、MySQLなどの低価格の代替製品の存在や、Oracleの組織成長率に関して不安を抱いているアナリストがいることは確か。同社が現在も進めている広範な企業買収を差し引いて考えれば、Oracleの成長は一般に考えられているほど健全なものではないということだ。アナリストらによると、Oracleは年20%の成長率という既定目標達成に、買収が多くを占めているという。

 Bernstein Researchのアナリスト、チャールズ・ディボーナ氏は、「2006年初めから数えただけでも、未完了のAgileの買収を除き、Oracleは少なくとも18社の企業を買収し、その金額は合計で114億ドルに上る。取得した無形資産の償却が今後も明示的にOracleの利益算出で除外されるのを懸念している。そのような取り組みでは、同社の財務状況の実態が正しく反映されないからだ」と述べている。

 ディボーナの言う「無形資産」には、ビジネスアプリケーション市場に進出するために同社のラリー・エリソンCEOが200億ドル以上の資金を注ぎ込んで獲得した企業群が含まれる。Oracleは2004年以来、30社以上の企業を買収した。その目的は、ビジネスアプリケーション市場のリーダーであるSAPを追い抜いて世界最大のアプリケーション販売企業になり、巨大なアプリケーションポートフォリオをミドルウェアとデータベースで支えることである。

 簡単に言えば、Oracleの戦略は、アプリケーション機能と顧客ベースを自力で築くのではなく買収を通じて獲得することに加え(これは買収よりも構築を重視するSAPの戦略と対照的だ)、最大のライバルに対して容赦なく攻撃を仕掛けるというものだ。

 Oracleは3月、企業による大規模な窃盗を行ったとしてSAPを提訴した。この件が法廷に持ち込まれるかどうかは不明だが、訴えられたことによるイメージダウンだけでもSAPにとって大きな打撃となりそうだ。SAPはこの間ずっと、Oracleの申し立てに対して守勢に回っている。

 買収という視点で見た場合、Oracleはソフトウェア企業をやみくも手に入れているわけではない。同社が選んでいるのは、PeopleSoft、Siebel Systems、Hyperion、Agile、Retek、i-flexといった市場をリードする企業ばかりである。「あらゆるものを手中に収め、そこから築き上げる」というOracleの戦略は当初、狂気の沙汰のようにも思えたが、同社が示す数字だけを見る限り、この戦略も的外れではないのかもしれない。

 Oracleは6月、同社の2007年度の新規ソフトウェアライセンスの収入が年率32%増だと発表した。「これに対し、SAPの直近の会計年度の成長率は10%にダウンした」とOracleのチャールズ・フィリップス社長は発表文で述べている。2006年9月にまとめられたOracleの2007年度第1四半期の収支報告書によると、同社のアプリケーションの売り上げが80%伸びたのに対し、SAPの売り上げ増は8%にとどまった。

 2006年9月の収支発表の時点で、ウォール街のアナリストらは、Oracleが発表したアプリケーションの売り上げ拡大と、買収を除外した実際の組織成長との関係が不透明だとして警告を発し始めた。

 アナリストらは投資家に対し、Oracleが市場でSAPとどんな勝負を演じているかを示す主要な指標である組織ライセンス収入の増加を正確に把握するには、Oracleが行った買収の分を差し引く必要があると警告した。各種のレポートでは、Oracleの実際のアプリケーション収入の成長率は15%増〜8%減の範囲となっている。

 だがOracleは強気の姿勢を崩そうとしない。同社の6月の収支報告の中でエリソン氏は、今後も積極的な買収を続けるつもりだと語った。しかしこの戦略が今後も功を奏するかどうかは不明だ。

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