iPhoneも自由自在に利用できるIP統合サービスを、米AT&T研究所シラクサ氏通信の巨人の目指すIPサービス(2/2 ページ)

» 2007年07月25日 07時25分 公開
[國谷武史,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ITmedia NTTようにエンドポイントも含めてフルIP化を目指す通信事業者もいますが、ユーザーサイドでは歴史の浅いIPネットワークに対して今も品質や信頼性にやや不安があるようです。

シラクサ ネットワークの変化は、“革命”ではなく“進化”としてとらえるていただきたいですね。AT&Tは、従来からの公衆電話網は次世代ネットワークにアクセスするためのオプションになると考えています。今後は音声だけでなく、さまざまな役割を果たすようになるでしょう。当然ながら、すべてのエンドポイントがIP環境になるには時間が掛かります。こうした点も考慮しながら、シームレスなIPネットワークを構築していかなければならないと考えています。

 例えば米国からフリーダイヤルによって公衆電話網経由で海外のコールセンターへ発信し、コールセンターがVoIPで受けるような場合が想定されます。IPネットワークと公衆電話網を接続させるゲートウェイも配備していますが、将来的にエンドポイントのIP化も進んでいきます。当面はチップセットレベルで双方をサポートするような手段が求められるかもしれませんが、AT&TはユーザーのIP化を全面的に支援していく考えです。

ITmedia SaaSのように企業の業務環境はネットワークへの依存度がますます高まると予想されます。次世代のネットワーク環境ではどのように信頼性を保証するのでしょうか。

シラクサ AT&Tのデータセンターでは、ホスティングからメンテナンスまでを一貫して行い、アクセス性とセキュリティの向上にも取り組んでいます。近年は企業のデータセンター統合などにより数万マイルも離れた場所の業務サーバにアクセスするようなケースが増えてきました。この場合ではアクセス経路の確保とパフォーマンスの維持が最重要課題になります。

 先に紹介したようにネットワークの増強は継続的に進めてますし、世界的なデータセンターの統合も支援を行っています。データセンターの統合はコスト削減が最な理由になりますが、旧来のネットワークを更新したばかりだったり、海外のサーバへアクセスをそれほど必要としないのであれば、急いで行うべきではないでしょう。IPネットワークへの統合で最も大切なのは、コスト削減だけでなく投資効果に基づいて新しいユーザー体験を手にすることを目的にすべきだろうと思います。

 例えば、今のコールセンターは1つの建物にいくつもの企業が施設を集約するケースがよく見られます、IP統合サービスによってバーチャルなコールセンターを構築することができ、オペレーターが自宅にいながら通話を受けるといったことも可能になります。

ITmedia 今後はiPhoneのようなモバイル端末からネットワーク上のコンテンツにアクセスしたり、ダウンロードするような利用が増えるとみられます。

シラクサ モバイル端末でユビキタスにネットワーク上のコンテンツを自由に利用できるようにするのがNGNの目指す方向の1つになるでしょう。これまでの「トリプルプレイ(音声、インターネット、放送)」にモバイルを加えた「クアッドプレイ」として統合的なサービスを提供することが、NGNのコンセプトでもあります。

 すでにIMSでは、音声や映像などのコンテンツごとに最適化を行い、さまざまなアクセス手段に対応したコンテンツサービスを実現しています。技術自体は確立されていますので、今後の大きな課題はコンテンツを安全に利用するセキュリティとなります。ネットワークセキュリティは、5年ほど前まではファイアウォールの導入だけでも十分だったかもしれませんが、現在はコンテンツにアクセスするさまざまなデバイスに対して、複合的にセキュリティ対策を行わなければなりません。セキュリティを実現させるにはもう少し時間が掛かりますので、本当の意味でユビキタスなコンテンツ利用を実現するにはネットワークさらなる進化が必要だと考えています。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ