2300万PVでも赤字?――ITクライシスの一端を見たオルタナブログ通信(3/3 ページ)

» 2007年07月27日 14時04分 公開
[森川拓男,ITmedia]
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 それにしても、1カ所の停電でこの状況になったことから、改めて異なる地域での分散サーバ化が重要だと感じた。しかし、データセンターとなればその規模は想像以上のもの。やはり電源の確保を強化する方が重要なのだろうか。そして、大規模化したデータセンター全体の電力をまかなうと考えた場合、省電力化されていなければ全体をバックアップするほどの許容量を持つことは難しいだろう。前述のエコへの対策にもつながるところだ。

 ことに日本においては、地震災害を考えるとその影響がより大きくなるかもしれない。少し話は違うが、吉田賢治郎氏「けんじろう と コラボろう!」原子力発電所は東京に作るべき!?というエントリーでは、今回の震災における原発の状況を見るにつけ、改めて考えさせられた。いわば逆の意味の分散の事例だが。また、この影響で都心部では電力不足になることも懸念されているため、谷川耕一氏「むささびの視線」に投稿された10%の節電ができるかのように身近な節電を心がけるほかないだろう。いつ、東京でも同様の停電が起きるか分からない。

 それにしても日本企業では、高橋徹氏「代替案のある生活」で改めて投稿した「IT投資マインド、日本最下位」に再度思うで触れているように、ITに関する理解が低過ぎるという指摘も多い。この件に関しては、筆者も過去に取り上げているが、あまり笑って過ごせることではないだろうと考えている。

月間2300万PVでも赤字

 大手企業のWebサイト、特に広告モデルで運営している場合には、ページビュー(PV)を重要視する。テレビで言えば視聴率、ラジオで言えば聴取率に相当するものであり、どれだけの回数ページが見られたのか、という指針である。つまり、この数字が大きいほど人気の度合いが高まり、広告効果も上がる。従って、いかにPVを上げるかという命題が常に課せられるわけだ。

 しかし、ビジネスモデルもかかわるだろうが、例外があるのだろうか……。

 今泉大輔氏「シリアルイノベーション」月間2300万PVでも赤字なのだとすればという興味深いエントリーが投稿された。

 前述のようにPVが基盤となるものと思いがちだが、いくらPVがあっても赤字になるという現実があるというのだ。これは衝撃的だ。つまり、PVを稼ぐだけではダメであり、新たな事業モデルを考える必要があるということだろうか。

 少し前まで主流だったメールマガジンによるマーケティングにしてもそうだ。吉田憲人氏「メルマガの先は・・・」に投稿されたメルマガ不到達回避策はあるか?にあるように、しっかりとした体裁のメルマガであっても、不達が多ければ意図は伝わらない。スパムメールを排除するための仕組み作りの中で、スパムではないメールも、誤判断されるケースが増えているのだ。

 今後、いったいどのような新しい事業モデルが出現するのか、新たなインフラの変化をとらえながら注目するとともに、その新しい形を考えてもみたい。

電子政府は機能しているのか

 電子政府という言葉が出てから久しいが、まだ現実感がない。

 確かに、Webからさまざまな情報が入手できるようになったが、肝心なところは役所に足を運ぶ必要性が残されている。さらに、ネットから何でもできますよといっても、そもそも配達までがフォローされない限りネットで完結するのは難しい。

 奥川浩彦氏「広報コンサルティング+ライターで独立しました」は、社会保険庁からIDとパスワードが届きましたで書いているが、このケースでは申し込みから受け取りまで7週間要したとか。しかし、仮にここで何か疑問点ができても……、結局は窓口へ行くことになるとか。すべてがネットでできてこその電子政府だとは思うのだが、まだまだ遠いところのようだ。

“おコンテンツ”って何?

 最後に、1つ面白い話題を紹介したい。

 堀内浩二氏「発想七日!」に投稿されたおコンテンツだ。これはもう投稿自体を見ていただくほかない。堀内氏が述べるように、何らかのアルゴリズムの誤作動かもしれないが、実に興味深い事例なのだ。

 以上、7月19日から7月25日にかけてのオルタナティブ・ブログに投稿されたエントリーから、筆者が気になったものをピックアップしてみた。

 しかし、オルタナティブ・ブログには、冒頭でも紹介した通り数多くのエントリーが投稿されており、本稿で取り上げたのはごく一部にすぎない。ぜひ、本記事をきっかけにして、ほかのエントリーも読んでほしい。

 例えば「ブロガー一覧」を見れば、本稿で取り上げた以外にも多くのオルタナティブ・ブロガーが多くの話題を取り上げていることが分かるはずだ。ここから気になるブロガーが見付かるだろう。また、RSS配信もしている「最新投稿一覧」も、リーダーなどに登録してウォッチするのも便利だ。

 ITの今を知る、新たな発見があるハズだ。

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