Oracle Database 11gがアジアで始動するOracle OpenWorld Asia Pacific 2007 Report(2/2 ページ)

» 2007年07月31日 20時57分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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コストを下げつつ情報のライフサイクル管理を実現する

 ロズワット氏は、Oracle Database 11gの高速化手法の1つであるOracle Fast Filesの解説から講演を始めた。その後、時間をかけて説明したのが、Binary XMLに対応するXML機能の拡張、ネイティブなデータタイプとしてのRFID、メディカルイメージのDICOM、そして3D Spatialといったデータベースで扱えるデータタイプが11gで大きく拡張したという部分だ。この話は、フィリップ氏が説明した、現在のデータベースに求められる革新に対応した機能ということになる。

チャック・ロズワット氏 Oracle Database 11gの新しい機能を説明するサーバテクノロジー担当執行副社長 チャック・ロズワット氏

 その後、パーティショニングの新しい機能であるPartitioning AdvisorやAutomated Partitioning Interval、新しいコンポジットパーティション、データベースの圧縮などを用い、増え続けるデータをいかに容易に管理し、パフォーマンスを維持した上で管理のコストを下げられるかといったことについて説明がなされた。

 「増え続けるデータの管理におけるチャレンジは、コストを下げつつ情報のライフサイクル管理を実現できるかということだ」とロズワット氏。この相反する2つの要求に同時に応えることができるのが、Oracle Database 11gの新機能だという。

 ここでロズワット氏の紹介で、Yahoo!のエンジニアリング・オペレーションのディレクターであるメイスン・ン氏が登壇した。Yahoo!では、検索マーケティングのための巨大なデータベースを、Linux上のOracleを用いてローコストで実現している。しかしながら、扱うデータ量は倍々の状態で増え続けている。それに対し、Oracle Database 11gのライフサイクルでのデータ管理機能は、利用しているストレージなどのコストダウンに大きく貢献するだろうとのコメントを行った。

 さらに新機能の解説は続き、従来の災害対策用のソリューションを大きく発展させ、さまざまな用途で使えるようにしたOracle Active Data Guardや、システム更新時のテスト時間を極めて短縮できるReal Application Testingについて、詳しい説明が行われた。

 これらの機能の優位性を裏付けるために登壇したのが、Hutchison Telecommunicationsの情報システムおよびデータセンター・オペレーションの責任者であるエリック・リー氏だ。リー氏によれば、テレコミュニケーションのビジネスでは競合状況も厳しく、サービスの革新スピードも極めて速い。そうしたなかで、システムも柔軟に変化へ対応していかなければならないという。システム更新の度にシステムを停止させていたのでは、顧客サービスとしては問題でビジネスに影響を与えてしまうからだ。Oracle Active Data Guardのオンラインのままシステムを更新できる機能や、Real Application Testingによるテスト時間の短縮機能は、新しいアプリケーションを素早く展開できる。これらによって変化の激しい環境の中でも、競争優位に立つことができるだろうとのことだ。

 今回のロズワット氏の講演のなかで、ニューヨークのローンチイベントの発表では詳しく触れられなかったトピックが1つだけあった、それは、Unicode Standard Virsion 5.0への準拠の説明だ。これは、今回のOpenWorldが中国で開催されアジア太平洋地域を対象としたものであり、さまざまな言語を利用する地域が含まれていることを意識しての発言だと思われる。Unicode Standardへの対応により、多くの国のさまざまな言語が複数混在するような要求にも、Oracle Database 11gはきちんと対応できるという。

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