u-Valueで顧客重視をアジアに伝えた日立Oracle OpenWorld Asia Pacific 2007 Report(2/2 ページ)

» 2007年08月03日 20時22分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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さまざまなデバイスを活用したユビキタスインフラが生活を革新する

 ミューチップ(μチップ)をはじめとしたさまざまなデバイスを活用することで、生活に密接した部分からもリアルタイムにデータを集められる。そのデータをうまく活用すれば、より便利で安心できる新しいユビキタス社会が成立する。RFIDのμチップだけでなく、指静脈認証装置、デジタルペン、無線で位置管理を行うAir Locationなどの多くのデバイスが、ユビキタスインフラのために日立が用意しているものだと山口氏は説明する。

 日立による実験的な取り組みとして、家電製品にRFIDを付け、製品のライフサイクルを管理するというプロジェクトも紹介された。製品のセンサーからの情報をセンターのデータベースに集約し、トレーサービリティやメンテナンスなどのさまざまなサービスを実施できるという。

 基調講演のあとに、ユビキタスインフラの実現をOracleとともに行っているメリットについて、山口氏に訊ねた。

 「例えば、μチップはこれまで入退場管理や物流の分野からスタートし、活用についてはまだ入り口の状態にある。だが、今後はOracleのアプリケーション製品がカバーするほかの業務領域にも拡大できると期待している。また、μチップ Hibikiという新たなグローバルスタンダードに準拠した製品も用意しており、Oracleのグローバル企業としての力と連携し、業界や企業、地域といっったものを超えた活用もできるだろう」(山口氏)

 また、東京大学 大学院情報学環・特任教授で、日立の事業主幹 理事も務める井村亮氏がμチップ技術の協業をOracleとやろうと決めたのは、「業界や企業のためではなく、顧客のニーズに合わせたRFID技術をどう活用するかを考えたいという、Oracleからの言葉を聞いたから」だという。企業のためではなく消費者のための利便性を追求するという考えが、両社で一致したというのだ。

上海万博の入退場管理でも愛知万博のノウハウで協力する

 まだ最終決定ではないが、2010年の上海万博でも日立はOracleや現地中国のパートナー企業とともに入退場管理などの技術的な協力を望んでいるという。実際、愛知万博での2500万枚のチケット管理をμチップで成功させたノウハウについて、上海万博の運営サイドから何度か問い合わせを受けているという。上海万博では愛知万博の規模を大幅に上回る8000万枚のチケットが発行され、1日に100万人以上の来場者があると言われている。これを混乱なくスムーズに管理するためには、入退場システムが必須になるだろう。

 「Oracleはハードウェアベンダーではないこともあり、日立とのコラボレーションはごく自然かつスムーズ。今後は日立の総合電機メーカーとしてのカスタマーベースや、電力や自動車などの分野で培った技術も協業の中で生かしていきたい」(山口氏)

 アジア地域という新たなフィールドも巻き込んで、顧客のための革新に向かい、Oracleと日立は今後も協力関係を深めていくとのことだ。

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