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» 2007年09月06日 08時55分 公開

PCから携帯電話へシフトするリモートアクセスの今モバイル機器からのネットワーク快適利用術

「PCの持ち出しが厳しくなってねぇ」――そんな声が聞かれるようになって久しい。PC代わりに携帯電話を活用する企業が増え、活用のための環境整備も着々と進む。

[國谷武史,ITmedia]

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 「先日商談を行った某企業では、数千ユーザー規模のリモートアクセスの導入を検討しており、そのすべてが携帯電話からのアクセスを前提としたものだった。PCを利用するという声はなく、とても印象的だった」。SSL VPNのリモートアクセスサービスを提供するエリアビイジャパンの鈴木一成社長は、最近のモバイルアクセス形態の変化について、このような体験談を紹介してくれた。

鈴木一成社長

 SSL VPNソフトウェア「SWANStor」の開発とサービスを手がける同社は、2000年に米国で設立され、現在は開発以外の機能を日本に集約している。SWANStorはこれまで約500社、サーバライセンスで約8000本を導入した実績がある。携帯電話にも対応するリモートアクセスのベンダーとしては、古くからサービスを提供している。

 個人情報保護法やコンプライアンスへの対応強化から、PCの持ち出しに対する企業の管理は年々厳しくなっている。持ち出しが許されているのは、部で共有するプレゼンテーション専用のPCだけ。持ち出す場合には必ず管理表に記入をして……というようなルールを決めている企業は多いだろう。以前に取材した某大企業の子会社では、上長と管理職、それに役員の決済がなければ、PCを持ち出せないという話を聞いたことがあるほどだ。

 今や多くの仕事で欠かすことのできないPCを持ち出させないようにすることが、情報漏えいを防ぐための簡単かつなってしまっている。だが、同時に仕事の効率や生産性が著しく下がることにもなりかねない。そこで多くの企業がインターネットにつながる携帯電話の活用に視線を向け始めた。

 鈴木氏によれば、携帯電話で社内のメールやグループウェア、SFAシステムの情報を利用したいというニーズは商談ベースで見ても着実に高まっており、最近ではスマートフォンを使いたいという声も数多く聞かれるようになったという。「企業は、携帯電話を端末内に情報の残らず、しかも持ち歩けるシンクライアント端末としてとらえている」(鈴木氏)

 同社が独自に調査した国内のビジネス向け携帯電話端末(法人契約者に提供される携帯電話とスマートフォン)の年間の出荷台数予想では、2007年は前年比で約2倍の200万台超を予想。2008年は約400万台、2009年には約600台を見込む。「さまざまな資料や当社の経験から予想したが、実際の市場はこれに近いようだ。今後は携帯電話から社内リソースへアクセスする機会がますます増えるだろう」と話している。

便利と安全をいかに両立する?

 携帯電話で業務に必要なデータを扱うためには、携帯電話の利便性と情報保護を両立させることが課題になる。極端にいえば、寝るとき以外は肌身話さず持ち歩くほどに使い慣れた携帯電話の操作性を犠牲にせず、身元が証明されたユーザーへ必要最低限の閲覧にとどめた情報を提供することになる。

 この相反する要素をなるべく満たす方法として、携帯電話ではSWANStorのようなSSL VPN通信を利用して端末のWebブラウザもしくはアプリケーションから社内システムに接続するのが一般的だ。

 Webブラウザの場合は、最初から端末にインストールされているために導入コストが抑えられ、端末にデータも残らない(EZwebは仕様からキャッシュが残る場合もある)。アプリケーションなら、さらに業務に必要な機能の自由度が高まるメリットもある。だが、多くの場合は自前のアプリケーションを開発しなけれなならない。

 SWANStorの場合、ユーザーはWebブラウザからエリアビイが管理する「SWANStor Gateway」を経由して、社内に設置されたSWANStorのサーバにアクセスする。SWANStorのサーバでは、ユーザー認証(LDAPやActive Directoryなどに対応)とアクセスコントロール、社内システムのデータのWeb化を行い、ログの収集・管理もできる。

導入・運用時の負荷軽減とセキュリティの両立から、SWANStorはこのようなサービス形態となった(同社資料から)

 ファイアウォールの設定を変更する必要がなく、基本的にはSWANStorサーバの管理だけで済むという。しかしながら、携帯電話はPCに比べて画面の表示サイズや入力方法が制限されるため、社内システムをあらかじめ携帯電話からの利用に対応(機能の利用制限や表示方法など)させる必要がある。なお、エリアビイではMicrosoft Exchangeのデータを端末に合わせてWeb化する「MOBILESocket for Exchange」も提供する。SWANStorとMOBILESocketは、350機種以上の携帯電話端末に対応している。

 「ソフトウェアベースでSSL VPNを提供するため、ユーザー企業が柔軟にシステムを組みやすいので利用が広がっている」と鈴木氏。今後は認証機能の強化、内部統制に基づく携帯電話リモートアクセスの管理といったニーズに対応していくという。

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