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» 2007年10月26日 08時00分 公開

サービスレベル管理――「不幸なSLA」を締結しないために初心者歓迎! ITIL連載講座(1/5 ページ)

ここまではITILにおける「サービスサポート」のプロセスを解説してきたが、これからは「サービスデリバリ」に関するプロセスを紹介する。「サービスデリバリ」は、ITサービスがどのように事業に対する要求に応えるか、ということを中長期的にマネジメントしていく手法だ。

[谷誠之,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「運用管理の過去・現在・未来」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


「顧客/ユーザ/プロバイダ/サプライヤ」の関係

 第2回で述べた、ITILにおけるそれぞれの用語と役割をおさらいしておこう(表1)。

表1:ITILにおける顧客、ユーザ、プロバイダ、サプライヤの定義

 重要なポイントは2つある。1つは「顧客とユーザを分ける」ということである。「顧客」とはITサービスを受けてビジネスを遂行する責任者、つまり社内の取締役クラスの人のことである。同時に顧客は、ITサービスを導入する上でお金を出す人、ITサービスにどのような期待をするのかを決定する人とも言える。決して一般にいうところのお客さまや消費者のことを指しているのではない。一方ユーザは、現場で実際にそのITサービスを使用して業務を行う人、つまり従業員のことである。

 もう1つは、ITサービスは顧客にとってもユーザにとってもうれしいものではなければならない、ということである。単に「使いやすい」とか「落ちない」というだけではだめなのだ。「24時間落ちないシステム」を構築する、と言えばユーザは満足するかもしれないが、それはその会社のビジネスの観点から見ればオーバースペックかもしれない。仮に「1週間連続稼働させたら壊れる」ようなシステムであったとしても、土曜日の晩に数分間、再起動のためにITサービスが停止することがビジネスにインパクトを与えないのであれば、別にそれでも構わないわけである。

 ITサービスを提供する立場のプロバイダは、ビジネスの側面とITの側面の両方から、ITサービスが顧客とユーザの両方の要求を満足するように管理していかなければならない。そのためには外部のサプライヤ、つまり社外ベンダを有効に利用することも必要になるだろう。

 余談ではあるが、筆者はこの「サービス」という言葉が好きである。一般にサービスというと、おまけとか無料とかのイメージがつきまとう。しかしビジネスの世界でサービスと言えば、お客さまが業者から何らかの有形、無形の恩恵を受けて、それに対して対価を支払うことである。

 筆者はここが重要だと思っている。有形、または無形の恩恵を受けてそれに対する対価を支払うのなら、ITはまさに「サービス」である。ITに対して支払われるコストは投資であり、それはビジネスが求めるものに見合ったものでなければならない。過剰でも過少でもいけないのである。一方、ITはビジネスに対して利益を与えなければならない。ビジネスに利益を与えて初めて「ITサービス」と言えるのであり、企業内にITが導入される動機と契機になり得るのである。

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