サービスレベル管理――「不幸なSLA」を締結しないために初心者歓迎! ITIL連載講座(4/5 ページ)

» 2007年10月26日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

サービスレベル管理の活動

 サービスレベル管理の活動は、図4の通りである。SLAは一度作成したらおしまい、ではない。定期的なレビューと見直しが重要である。しかし今回は特に、導入段階で重要なサービスカタログの作成にスポットをあてて説明する。

図4:サービスレベル管理の活動

 サービスカタログとは、提供する全ITサービスの内容や特徴、適用範囲などを記述した文書である。具体的に何をサービスするのか、ということを明確にした、文字通りの「カタログ」である。サービスカタログは(非IT側である)顧客にも容易に理解できるように、専門用語を用いない分かりやすい言葉で表現する必要がある。このサービスカタログを元に、SLAの草案が作成されることになる。

 では、このサービスカタログを作成するためには、どのような手順が必要なのか。これを記したものが、図5である。

図5:サービスレベル管理の導入部分

1.サービスニーズの把握

 顧客に対して、ビジネスに必要なIT要件をヒアリングし、ITサービスの業務要件をまとめた文書を作成する。この文書のことを「サービスレベル要件(SLR:Service Level Requirement)」という。SLRはビジネスの立場、顧客の立場で書かれたものであり、システム開発における要件定義書のようなものである。

2.サービス内容の定義

 SLRが出来上がったら、今度はそれをプロバイダ側で具体的なサービス仕様に落とし込んでいく。こうして出来上がった文書が「サービス仕様書」である。サービス仕様書はプロバイダ内部で閲覧される文書であるため、技術的な表現で書かれることになる。これはシステム開発における設計仕様書のようなものと理解すればいいであろう。もちろん、サービス仕様書はSLRに書かれた要件を満たしていなければならない。

3.サービスカタログの作成とSLAの締結

 サービス仕様書を元にしてサービスカタログを作成する。先にも述べた通り、サービス仕様書は顧客やユーザが参照するための文書であるため、技術的な表現を用いずに分かりやすく記述する必要がある。サービスカタログのレベルで顧客と合意が得られたら、それを元にSLAの草案を作成する。

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