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» 2007年10月26日 08時00分 公開

サービスレベル管理――「不幸なSLA」を締結しないために初心者歓迎! ITIL連載講座(2/5 ページ)

[谷誠之,ITmedia]

「SLA/OLA/UC」の関係

 ITがビジネスにきちんと利益を与えるためには、ビジネスがITに何を求めているのか、ということをはっきりさせなければならない。それを踏まえてITは、ビジネスに対してどんなサービスを行うのかをあらかじめきちんと決めておく必要がある。

 一般にユーザは、(ITに限らず)サービスを提供する者に対して無尽蔵のサービスを期待する。あるいは「ここまではやってくれるだろう」とサービスレベルを勝手に期待することもあり得る。例えば重い荷物を持ってタクシーに乗り込む際、タクシーの運転手は乗り降りを手伝ってくれるだろう、と期待する。しかしタクシーの運転手は、自らのサービスを「お客さまを安全に目的地まで送り届けること」と思っているのなら、お客さまの乗り降りの介助はサービスの範囲外、ということになる。

 このような意識の違いがあれば、たとえ目的地まで安全に、確実に送り届けてもらえたとしても、お客さまはそのタクシーのサービスに満足しない。サービスの範囲に含まれるものは何か、ということをきちんと決めておく必要があるのだ。サービスの内容をきちんと取り決めることは、タクシーの運転手と客との間では難しいかもしれないが、社内の顧客とプロバイダとの間で取り決めることはできる。そのために重要になってくるのが「SLA」と「OLA」と「UC」である。

 「SLA(Service Level Agreement)」とは、顧客とプロバイダが合意の上に定めた、ITサービスの品質や内容のことである。具体的には、提供されるITサービスの内容、ITサービスを受ける対象者、サービス時間、許される停止時間、インシデント解決の目標時間、などである。SLAが合意されると、顧客そのSLAの内容をユーザに告知する責任があり、プロバイダはそのSLAを順守することに責任がある。

 「OLA(Operational Level Agreement)」は、SLAを順守するためにプロバイダ内部で取り決めた合意文書のことである。プロバイダ内での各担当者の責任と役割、連絡網、組織構成などを含む。

 さらに「UC(Underpinning Contract:請負契約)」は、SLAを順守するためにプロバイダと社外のサプライヤとの間で取り決めた合意文書のことである。

 SLAは、ビジネスをITがちゃんとサポートすることを目的として、顧客とプロバイダ双方が合意のもとで作成されなければならない。複雑なSLAや、ビジネス指向に偏りすぎて荒唐無稽なSLAになったもの、IT指向に偏りすぎてビジネスが受ける恩恵を無視したSLAは、必ず破綻する。

 またOLAやUCは、SLAの目標や目的を満足するように取り決めなければならない。そのためこれらの合意文書は決めただけではだめで、守る努力と日々のレビューが必要不可欠である。ビジネス要件が変わると、SLAも変わるだろう。SLAが変わると、OLAやUCも変わる。従って、SLAをレビューするタイミングや頻度に関しても、SLAに記述するほうが望ましい。

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