通話からアプリケーション利用、WiMAXも視野に――KDDIの企業向け展開モバイルセントレックスのススメ(2/2 ページ)

» 2008年01月21日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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通話以外の利用とスマートフォン

 企業におけるモバイルシステム利用は、社員の生産性と業務効率の向上が主目的となる。その最たるものがコミュニケーション手段の拡充であり、特にモバイルセントレックスは通話機会の確保において有力なソリューションになる。

 だが、最近では電子メールやインスタントメッセージング(IM)など、通話以外のコミュニケーション手段をモバイルに組み込んで、業務効率をさらに高めることに注目する企業もある。

中島昭浩モバイル商品企画部長

 NECや富士通、日立などの大手ベンダーでは、大手企業を中心にモバイルセントレックスシステムとモバイル利用に対応した電子メールやグループウェアシステムなどを組み合わせて訴求している。KDDIでも「BREWアプリケーション開発などの点でベンダーやユーザー企業をサポートしている」と中島氏は話す。

 KDDIは、SMB市場向けにも通話と業務アプリケーション利用を組み合わせた訴求を本格化させている。2007年6月にはマイクロソフトと提携し、携帯電話から業務アプリケーションをSaaS方式で利用できるサービスを、3月から順次始める計画だ。

 「SaaSの一番のメリットは、業務アプリケーションを資産として所有しないことによる財務的なメリットだが、通話利用と一体でモバイル化を図れば、特に中堅・中小企業ではさらにコストメリットが高まるだろう」と中島氏はいう。

 業務アプリケーションのモバイル利用では、PCライクなOSを搭載するスマートフォン端末の存在が注目され、ウィルコムやNTTドコモ、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルが個人ユーザーも含めて注力している。KDDIもスマートフォンの開発を進めていることを認めているが、発売時期などは明らかにしていない。

 中島氏もスマートフォン開発を認める。「BREWプラットフォームでは.NET環境を提供できるので、現在の端末でもスマートフォンとほぼ同じことができる。スマートフォンは企業・個人ユーザーの選択肢を広げる手段になるだろう」と話している。

モバイルブロードバンド

 KDDIが出資するワイヤレスブロードバンド企画は、2007年末に2.5GHz帯の周波数免許を取得し、2009年夏ごろから「モバイルWiMAX」方式で商用サービスを始める計画。法人ソリューションサービスの広がりも注目される。

 モバイルWiMAXでは、数十Mbpsのブロードバンド通信サービスが提供できるため、現在の3Gでは難しい大容量のデータ通信が可能になる見込みだ。中島氏によれば、すでに具体的なソリューションメニューの開発に着手しているとのことだが、「例えばWiMAX/3Gデュアル端末をシンクライアントとして使うこともできるだろう」と話す。

 次世代サービスでこのような利用用途でのサービス品質が確保されれば、テレワークなどモバイル環境での通話・業務アプリケーションの利用促進につながると、中島氏は期待する。

 「セキュリティを確保しつつ、業務効率を高めたいというのがモバイルに対する企業のニーズ。次世代の無線インフラも含め、企業の多様なモバイル用途に対応していく」と中島氏は話している。

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