Sun、Rockのリリースを2009年に延期

Sunが2008年後半に予定していた次期版UltraSPARCプロセッサを延期する。

» 2008年02月07日 14時13分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米Sun Microsystemsの新しいマルチコアプロセッサ「Rock」が登場するのは2009年以降になる。

 Sunのエンジニアが2月6日、米サンフランシスコで開催の国際固体素子回路会議(ISSCC)で次期版UltraSPARCプロセッサの詳細な技術情報や革新技術を説明した後、同社関係者は、このプロセッサの投入を2009年後半以降に延期すると発表した。

 Sunが2007年に最初に公にRockについて話し始めたとき、2008年後半にはリリースできるだろうと話していた。同社は8月にコードネームで「Niagara 2」と呼ばれていたUltraSPARC 2をリリースし、その後、同プロセッサを搭載した新システムを投入してきた。

 Sunフェローでマイクロエレクトロニクス部門CTO(最高技術責任者)マーク・トレンブレー氏はeWEEKに、これまで投資してきた技術がすべて機能して、ハードとソフトの両方に合わせて最適化されるように、Rockのリリースを延期することにしたと語った。

 同社はRockを延期するものの、2ソケットシステム向けのNiagara 2の新しいスケーラブル版「Victoria Falls」を間もなくリリースする。ISSCCではIntelも、新しいItaniumプロセッサ(コードネーム「Tukwila」)の技術の一部について説明した。Itaniumはハイエンド市場でSunのUltraSPARCシリーズと競合している。

 この会議で発表した論文で、SunのエンジニアはRockを2.3GHzで動作する16コアプロセッサと説明していた。65ナノメートル(nm)製造プロセスを用い、CMT(チップマルチスレッディング技術)を採用、全体で32の命令スレッドを処理する。シングルスレッド、マルチスレッドのアプリケーションの両方に合わせて最適化されている。

 Rockはパラレルコンピューティングを念頭に置いて設計されている。トレンブレー氏によると、Sunはこのプロセッサの登場が、ISV(独立系ソフトベンダー)にCMT機能を活用できるソフトの開発を促すと期待している。Rockは合計で32のメイン命令スレッドを提供するが、2つの「ヘルパー」スレッドも備える。ヘルパースレッドは命令を事前取得するだけでなく、古い命令を退去させてメモリをクリアし、高速化を図る。

 「これらの追加スレッドの役目は、メインスレッドの先回りをして、メインスレッドが追いついたときのために命令を用意することだ」(同氏)

 Rockには、同氏が「トランザクションメモリ」と呼ぶ技術も搭載される。命令のグループを同時に実行できるようにするもので、大規模データベースソフトや銀行取引アプリケーションの性能向上につながる。

 この種の技術は、パラレルコンピューティングを活用するためのアプリケーションをより多く開発しようとするSunの取り組みにも関連している。トランザクションメモリは大学でも、パラレルコンピューティングを活用するソフトの開発に目を向けている人々に好まれてきたと同氏は言う。

 Rockの熱設計枠は250ワット。同氏が言うには高いが、電源管理技術でプロセッサの一部を制御できる。Sunは、Rockの空冷方法も検討しており、それによって約束通りの性能を実現できるだろうと同氏は言う。

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