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» 2008年02月19日 01時00分 公開

上野康平――3次元空間を統べる若き天才プログラマー(完全版)New Generation Chronicle(6/9 ページ)

[西尾泰三,ITmedia]

Rubyのまつもとさんにはいろいろとあこがれる

「いつかは研究者に」――そう話す上野さんの目はまっすぐに未来を見据えている

―― ここは毎日ウオッチしている、というサイトはありますか?

Livedoor Reader/はてなアンテナで毎日100強のサイトをウォッチしてます。そのうち、3〜4割が英語圏のサイトですね。CG系のトピックを扱うコミュニティーを立ち上げたいなとも思っています。

―― 開発系の雑誌で購読してるものはありますか?

CG WORLDをたまに買っていたくらいです。エントリポイントとしてはいいのですが、最新のトピックを追いたくなると、紙メディアは向かないのかなと。あと、初心者向け記事が多いので、もう少しコアなネタを扱ってほしいとも思いますね。UNIX USERとかUNIX magazineは結構コアで好きだったのですけど。西田亙さんの「GCCプログラミング工房」とか

―― 大物ハッカーといえば?

Rubyのまつもとゆきひろさん。ハッカー理想像を実践されているところにあこがれます。技術力だけをみれば、まつもとさんより優れた方も多く存在されるかもしれませんが、日本人であそこまで自分の信念を持って行動されるハッカーってなかなかいないんじゃないかなと思いますし、自分でしっかりとしたコミュニティーを運営されていることなどもリスペクトしています。Ruby 1.9で過去の遺産をバシバシ捨てているのは素晴らしいなぁ。ああいう覚悟がC++にあれば、もう少し違っていたでしょうが。

―― 国内外を問わず、尊敬しているプログラマーは?

先輩レンダラ書きの皆さん。

―― 自分より年下で注目しているプログラマーは?

具体名を出すのは避けますが、国内だと、「3Dライブラリ/人工無脳をバリバリ書いてしまう高校生」の方、「簡易コンパイラを書いてしまう自称15歳」の方などなど、若い方でもすごい開発者はたくさんいます。米国に行くと、もう少しビジネス指向が強くなる気がします。

 開発者の能力としては差はないと思いますが、英語の壁というものはそれなりにあるかもしれません。事実、CGの世界にかんしていえば、物理ベースレンダリングの実装が行えるようになるレベルの書籍は日本にはほとんどありません。そうなると、最先端の技術を母国語でバリバリ扱える方がやはり有利になってしまい、有能な国内の開発者でも、英語が堪能でなければ、ある一定のレベルで止まってしまうか、翻訳コンテンツ待ちといった状況になってしまいます。

 こういうと、英語教育を若いうちから、といった議論に走ってしまいそうですが、実際には教える側のレベルも問われるわけで、それが本当に有用なものになるのかは分かりません。わたしにしても、米国に引っ越してから一般クラスに移るのに2年くらい掛かったほど言語センスがないと自覚してますが、英語が出てきたときに拒否反応を示さずに読み進めさえすればそれほど恐れるものでもないです。

―― インターネットは10年後、どのように進化していると思いますか?

今よりもさらにクライアント端末が多様化していると思います。インターネットは今以上にライフライン化しているでしょうし、次のパラダイムはインターネットではないだろうと思うので、あまり興味がなかったりします。

 むしろ、量子コンピュータの登場に期待しています。圧倒的な演算性能を持つ量子コンピュータの登場で大打撃を受けそうなのがシミュレーションと、シミュレーションに深く依存するような分野でしょうね。もちろんCGも含まれます。CG業界はこれまで、パラダイムシフトとなるような経験をしたことがないといわれているので、気になるところです。

―― ロボット3原則をまねてプログラマー3原則を考えてみてください。

第一条 プログラマーは常に楽をすることを考えるべきである。

第二条 プログラマーは常に楽をすることを考えるべきである。ただし第一条に反する場合はこの限りではない。

第三条 プログラマーは常に楽をすることを考えるべきである。ただし第二条に反する場合はこの限りではない。

解説:

プログラマーは常に楽をすることを考えるべきだが、楽をするためにプログラムを書くことはプログラマー的には正しい。

プログラマーは楽をするためにプログラムを書く時にを常に楽をすることを考えるべきだが、楽をするためにプログラムを書く作業を楽をするためのプログラムを書く事はプログラマー的には正しい。

―― 上野さんと同じ分野で活躍したいという開発者に、どんなアドバイスを贈りますか?

まだまだわたし自身未熟すぎて、アドバイスができることは少ないと思いますが、あえて言うなら「英語を恐れずに論文に当たれ」ぐらいですかね。

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