―― GNUやGNU GPLについてはどう思いますか?
GNUツール類は現在の開発に欠かせないものになっているので、GNU Projectには非常に感謝しています。GPLは商用のパッケージソフトウェアと戦うために必要な強さを持ったライセンスだと思います。わたしのプログラムでGPLにしているものは、本当にコア、というかnytr以外に使いようがない部分で、少しでも汎用的に使えそうな部分はライブラリなどにしてLGPLやMITで公開するつもりです。
nytrのアーキテクチャに関しては広く使っていただきたいので特許申請するつもりもありません。わたしはソフトウェア特許をあまりポジティブに考えていないので、そんな自分が特許を申請するのもおかしな話じゃないですか。
―― 最近のDebianとUbuntuの関係で思うところがあれば
Web業界などで、OSSがプロプライエタリなソフトウェアよりも広く使われるようになってきたのをうれしく思います。CG業界もそうなってくれるとよいですね。自分も少しでも貢献できればと思います。パッケージメンテナもやってみたいなと思ってましたが、最近時間がなくて……。高校のころにやっておけばよかったなぁ。
―― 「自分はもしかしたらすごいプログラマーかも」と思ってしまうときはありますか?
ありません。むしろ他人のコードを見て感激することの方が多いです。
―― プログラムをするようになって、「自分のここが変わった」というものは?
プログラムをしなかったころの自分が思い出せないので何とも。小学校のころから組んでいましたので。
―― セキュリティ面で心懸けていることは何ですか?
Webプログラミングをするときは、taint/untaintやinjectionの危険のある変数には接頭詞u_をつけるなどしています。
―― コーディングスタイルで許せないことは?
if(a > 5)
{
printf("ok: %d\n", a);
}
のように閉じ}がインデントされている位置にあるのは嫌だなぁ。あと、意味も分からずただコピペのつぎはぎで作られたコードはあまり好きではないですね。意味を分かった上で使うのならばいいのですけど。
―― 美しいと思うコードはどんなものですか?
Boost C++ libraryを見ると、ACだとは思います。でもこれは美しいコードとは違いますよね。
―― 頭の中で空想し得ることは、すべてソフトウェアでいつかは実現可能だと思っている?
「発想するコンピュータプログラム」をいつか作ってみたいですね。
―― 正直、コードを書かない人に何か言われたくないと思っている?
それはまったく思いません。また違った視点から見てみた場合の発見もあると思います。
―― プログラミングやPCに出会っていなければ、今ごろ何していたと思います?
想像できないですね。もう少し音楽の方に力をいれていたかもしれません。
―― プログラミングの未来についてどう考えていますか?
短期的な予想ですが、関数型言語がいままで以上に流行ると思います。個人的にはC++の次の言語がほしいところで、「Digital Mars D」はどうかなとか、C++ 0xはいつ実装されるのだろうとか思いますが、複雑になりすぎたC++がさらに複雑になるのならそれは嫌だなぁ。
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