谷口公一――「にぽたん」と呼ばれし剛勇の新たな挑戦New Generation Chronicle(5/5 ページ)

» 2008年04月02日 12時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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「にぽたん、アメリカへ」の理由

―― インターネットという世界において、ライブドアは何を成し、またはこれから成していくだろうと予想されますか?

一時期はヤフーっぽさを目指していましたけど、きっとどこか違っていて、かといって、はてなを目指しても、それもどこか違っていて、そこの中間層からややはてな寄りなポジションなんじゃないでしょうか。

 はてなのコンテンツを使うには、若干のITリテラシーの高さが必要だと思っているのですが、そうしたユーザーの数と、それほどITリテラシーが高くない人の数を比べると、圧倒的に後者の方が多いですよね。そうしたITリテラシーの低い層に対して、はてなっぽい面白いもの、言い換えれば、ギークが考えた一風変わったサービスを提供していけるような立ち位置が今の時点ではよい気がしています。

―― ライブドアにいて一番自分のためになったと思うことは?

ライブドアにいたことそのものです。脚光を浴び、天まで持ち上げられ、奈落の底に突き落とされ、地上へはい上がるプロセス1つ1つ。精神的にも鍛えられましたし、何があっても動じなくなりました。ここまでをたった一社で経験するのはなかなか難しいのではないでしょうか。

―― ここ数カ月で1番のニュースは?

わたしが米国に行くことですかね。

―― 米国でビジネスを手掛けようと考えた上で、「これがあるから米国で」という点はどこですか?

かなりおぼろげですが、日本語の読み書きができる人って、せいぜい数億人ですよね。一方で、英語の読み書きができる人は一けた違います。自分たちの仕事を世界にアピールするためには母数的にすごく挑みたくなるような数字です。かといって「英語が分かる」だけではだめで、英語圏の中に飛び込んではじめて、細かい機微とかが感じられるのだと思うので、日本にいたらできない気がしていました。そもそもわたしはあまり英語が喋れませんしw

 ですので、米国の空気を感じることで何か新しいサービスを作ろう、というわけではありません。これをやろうと思うと、まずサービスを作り、それを普及させていく必要があるわけです。これは大変ですよね。わたしは日本のサービスはそんなに悪くないと思っていて、そうしたものを英語圏のユーザーにどう浸透させるか、言い換えれば、今ある持ち玉が米国でも通用するのではないかという考えを基に、その展開方法を探る、というスタンスです。

 後、日本人って、外国人に比べて仕事が丁寧だと思いますが、外国発のサイトが日本で流行るのに日本発のサイトが海外で流行らないのにはもどかしさを感じていました。そういう意味で、そういう日本人っぽい部分を外国人にアピールできたら楽しいだろうなーと思いました。

―― ライブドアが開発したWebアプリケーションフレームワークである「Sledge」はその役目を終えたと思いますか?

似顔絵がよく似ています 「弊社CTOの池邉(編注:池邉智洋氏)をはじめ、モバイル系のCPANモジュールをメンテしている栗原(編注:栗原由樹)などわたしなどの能力が及ばない方々がたくさん在籍している。あまり表だって前に出ることは少なくとも、今でもライブドアはギークの会社だなぁと思う」

全然終えていません。当社では依然として現役バリバリのフレームワークです。標準構成では使ってませんけどねw

―― IT業界は3Kだと思いますか? また、どうすれば改善できると思いますか?

3K「ぽい」なーとは思ってます。でも3Kを良しとしている人って、好んで会社に残っていろいろやっていたり、業務に直接関係ないことを時折するような余裕があったりで、本当の3Kではない気がしていて、それは改善しなくてもよいと思ってます。余裕のない3Kは……、人員不足としかいいようがない気がしますけどどうなんでしょうか……。

―― 今、数あるITベンダーの中で「いい仕事してるなぁ」と思うベンダーは?

はてなカヤック。どちらもニッチな面白さを追求していて、なんかもうけようというガツガツした感じがなくて、むしろ面白きゃいいじゃないかと振り切れちゃってるところが素敵です。

―― 開発者の飛躍の鍵になるようなイベントがあるとしたら、どういったものを挙げますか?

やっぱり多くの有名な開発者が集うイベントがよいと思います。わたしはPerl使いなのでそういう人にとっては近いところだとYAPC::Asia 2008などは素晴らしいイベントです。自分が日ごろやっていることや、それより何歩も先に進んでいろいろやっている方のプレゼンが見られるのですごく刺激を受けると思います。

―― 現在のように各デベロッパーが個別に交流を深めることで、企業内デベロッパーのありかたはどう変わっていくと思いますか?

企業内で決まりきったやり方に固執し、そこに流れる血を守ってその濃度を高めていくことは、安定を求めるという意味ではメリットであるといえるでしょう。逆に、固執せずにどんどん新しいものを取り入れ、血を薄めていくことにもメリットがあると思っています。

 とはいえどちらかに偏るのもいけないと思っています。能力があるけど内向的な人は血を守り、外向的な人が血を薄める。そうやって一定の濃度で拡がりが出るのだと思うので、どちらか片方だけを強要しては、どっちにしろ最後は腐るのではないでしょうか。

 一昔前と比べると比較的交流しやすくするイベントやツールが増えたし、より多くの人の目に触れて目立つようになったため、時代に変化が訪れたかのように見えますが、ただの仲良しこよしの飲み仲間というのじゃなければ、根底では、たぶん昔からある技術者の交流と同様に「あなたが書いたコードに助けられてますよ」とお互いに思い合える人同士が技術者として本質的につながり続けられるのでしょうし、そういう人たちが企業内に還元してきたから業界の底上げが行なわれたわけですから、いままでもこれからも、特に「ありかた」に変化は起きないのではないでしょうか。

―― 未来の開発者たちに一言

われわれの世代をもっと楽させるために頑張ってください。

―― この質問に項目を追加するとすれば、どんな質問を加えたいですか?

コードを書きたくて書いてますか? それとも自分の欲求を満たす方法としてコードを書いていますか?

―― あなたが「この人の回答が見たい」と思う人を3人挙げてください

竹迫良範さん、tokuhiromYappo

―― 自分が実際に会ったことがある人の中で、「この人に回答してほしい」という人は?

Yappoですかね。かなりKY(空気読めない)な面白い回答が期待できると思います。もしかしたら回答はすべて割愛で、1ページだけとかになっちゃうかもしれませんね。

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