「米国の高校はコンピューティングを本格的に教えていない。そうした授業があっても、コンピュータ・リテラシーを上げるためのものばかりで、科学としてのコンピューティングや批判的思考法は軽視されている。選択科目としているところも多い」(サンダース氏)
アピールの仕方が悪い、女子にメッセージを届ける努力を怠っているか努力していても時期が遅いといった問題のほかに、メッセージの内容が的はずれである点もマイナス要素とされる。
少なくとも消費者サイドにおいては、女性にテクノロジーの魅力を訴える取り組みは実に安直でお粗末だ。携帯電話をピンク色にしてみたり、ラップトップをラメや花で飾り立ててみたりしても、テクノロジー業界で働いてみたいと女子に本気で思わせることはできない。
「(こうした戦略は)女性を技術発案者に育てることとは一切関係がない」(サンダース氏)
それよりも、自分のアイデアが新たなテクノロジーをさらに進化させられると女性に訴える方がよほど効果的だと、サンダース氏は論じている。
「設計に女性が関わっていないと、テクノロジーの可能性を完全に引き出すことは難しい。男性とは異なる人生経験をしてきた女性なら、デザインにひねりを加えられるはずだ。それがイノベーション面における女性のアドバンテージにもなる。われわれは今、開発できるはずのものをすべて開発しているだろうか。とてもそうは思えない」(サンダース氏)
技術およびコンピュータ関連業界が、“殺られる前に殺れ”というタイプのものをはじめとするビデオゲームの製作に血道を上げていることが、同業界から女子を遠ざけている原因だと指摘する者もいる。
「こうしたゲームが当然のごとく男性を対象にしているからか、ほかの教授もゲーム原因説を唱えていた」と、ブロック氏はみずからの体験を語った。
「コンピュータ科学専攻を希望する学生のために、学部を一般公開する日を少し前から設けている。これまで10人の生徒がやって来たが、全員男子学生で、しかもみんながみんなビデオゲームの製作について質問してきた」(ブロック氏)
もっとも、在学中の女性に技術界への就職を呼びかけるメッセージが届いていようがいまいが、いずれはすべての就職希望者がある程度のテクノロジースキルを身につけなければならなくなる。
「若い世代にテクノロジーの本質を教え、創造性と洞察力に富む人材を欲している業界であることを伝えられれば、彼らの技術に対する考えも変わるのではないかと思っている」(サンダース氏)
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