コラム
» 2008年04月28日 07時41分 公開

Weekly Memo:マイクロソフト、サン、オラクル――三者三様の日本法人社長交代 (2/2)

[松岡功,ITmedia]
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突然だったサンの社長交代

 一方、サンの社長交代は突然だった。4月16日付けで前任の末次朝彦氏(55)から、米サン アジアパシフィック業務執行責任者兼アジアサウス法人社長のライオネル・リム氏(52)が兼務する形で就任した。

4月16日付けでサン・マイクロシステムズ社長に就任したライオネル・リム氏

 サンによると、今回の人事は末次氏が個人的な理由で退任を申し出たため、日本法人を統括する立場にあるリム氏が、日本法人の経営の舵取りにも直接乗り出した格好だ。末次氏は新体制への移行をサポートするため、一定期間は出社するという。

 突然の交代に関係者からは驚きの声が上がったが、サンの事情通の中には「サンのグローバル事業戦略の中での日本法人の今後の経営方針に何らかの変化があったのでないか」と推測する向きもある。その意味でも今後の同社の動きが大いに注目される。

 突然の発表といえば、日本オラクルの社長交代もそうだったが、こちらはマイクロソフトと同様に用意周到だったようだ。同社が4月24日に発表した人事は、元日本IBM常務執行役員の遠藤隆雄氏(54)が6月1日付けで社長執行役員兼CEOに就任し、現社長兼CEOの新宅正明氏(53)は代表権を持つ会長として新体制を支えるという内容だった。遠藤氏は8月下旬に開かれる同社の定時株主総会の決議をもって取締役に就任する予定だ。

6月1日付けで日本オラクル社長に就任する遠藤隆雄氏

 新宅氏は社長就任から8年目となるが、就任直後の苦境を脱し、2007年5月期にはソフトウェア専業の上場企業として初めて売上高1000億円を達成。2008年5月期も増収増益の見通しで、実現すれば3期連続で過去最高の売上高および経常利益を記録する。これを花道に、1000億円企業として経営体制の刷新を図る決意をしたようだ。

 今回の人事が用意周到だったと目されるのは、次期社長の遠藤氏がすでに昨年8月に日本IBMを退職しており、その時点で日本オラクル入りの話がほぼ決まっていたとみられるからだ。1年弱の時間を空けたのは、IBMの転職制限規定に抵触するのを回避する意味合いもあったようだ。今回の人事にあたり、新宅氏は次のようなメッセージを発表している。

 「オラクル・コーポレーションのM&A戦略によって新たな価値を得ている日本オラクルが、お客様・パートナー企業様からいただいている大きな期待に応えるための次のリーダーとして十分な経験・見識を備える遠藤氏を迎えることを私は心から喜ばしく思います。日本オラクルの新しいリーダーとして遠藤氏はベストの人選であると私は確信していますし、大きな期待を持って同氏を迎えたいと思います。私は遠藤氏の新たなリーダーシップを全面的にサポートしていく所存ですので、皆様、今後の日本オラクルに是非ご期待ください」

 新宅氏の思いが伝わるようにあえて全文を紹介したが、このメッセージを読めば、同氏の“してやったり”感がおわかりいただけるだろう。

 ただ、1000億円企業になったとはいえ、データベース事業への依存度がまだまだ高い同社の課題は少なくない。そのあたりは新体制になってから、またじっくりと注目したい。

 くしくもほぼ同時期にトップが交代することになった米国を代表するIT企業3社の日本法人。IT市場の流れとして時代の変化を象徴する意味では、日本でもいよいよSaaSが本格化してきたことがあげられるだろう。3社ともSaaSには深い関わりを持つだけに、それぞれの新社長の手腕がさっそく試されることになりそうだ。

松岡 功

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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