コラム
» 2008年04月28日 14時18分 公開

NGNが引き起こす業界変革シナリオ:崩壊するICTピラミッド (3/3)

[エリック 松永,ITmedia]
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 買収という形をとらない企業も、独自にコンサルティング会社を立ち上げた日立製作所の日立コンサルティングや、既存のコンサルティング機能を強化した富士通の富士通総研、またアクセンチュアのようにコンサルティングからシステム層を取り込むモデルも存在し、実質的にコンサルティングとシステム層は統合される結果となった。

 一方、システム層内部でも、その付加価値をより向上させるために、有力ソフトウェアベンダーが立ち上がった。彼らは、コンサルティング層がリードし、一体となったビジネス展開をしていたため、コンサルティング層に選ばれる立場にあり、選択してもらうための価値を高める必要があった。

 有力ソフトウェアベンダーは、コンサルティング層がビジネスを展開しやすい「経営」というキーワードに着目し、より経営層に近づける製品としてBI(Business Intelligence)と呼ばれる、経営層の意思決定を支援する製品の買収へと動いた。この波は2007年に一気に押し寄せ、IBMのCognos買収(50億ドル)、米Oracleの米Hyperion Solutions買収(33億ドル)、独SAPのBusiness Objects買収(48億ユーロ)といった大型買収となった。買収金額を見れば有力ソフトウェアベンダーの本気度が感じられるだろう。

 有力システム層はコンサルティング層の買収に代表される囲い込みで、ICT3層ピラミッドを実質2層に集約させた。上位層はコンサルティング・システムに統合され、コンサルティング層で経営層を抑える手法でビジネスの対する影響力を絶対的なものにしようとしている。

 残る課題は相乗効果をどう引き出していくかであり、実際には苦難の道が続いているが、2層に統合されることによりコンサルティング&システム層のICT市場での力は圧倒的になり、さらなる寡占化が進むことも大いに考えられる。

ネットワーク層の戦略はどうあるべきか

 いままでの大きな動きはシステム層以上で起こっており、コンサルとシステムの各層は統合によりICT市場でより大きな勢力を持つようになった。ネットワーク層は過去のトラウマから積極的な統合をシステム層に先を越された形になった。

 しかし、今や、高速通信インフラの整備や伝送技術の発展によりネットワーク層内部での差別化が難しく、すでに厳しい寡占化状態にある。前述した通り、構造上、上位層が積極的に下位層とがっぷり組みたがるモチベーションはあまりない。ネットワーク層としては上位層を取り込み、この状況を打破したい気持ちはあるものの、ハードルは高い。なんとかして、このハードルを飛び越える「ドライバー」が欲しい。

 ネットワーク層を専門領域の1つとしているわたしとしては、ネットワーク層が新たなビジネス領域に飛び出そうとする際のドライバーとしてNGNが位置付けられないかと考えた。そう、NGNを単なるコスト削減の目玉としてではなく、ICT3層ピラミッドの概念を覆し、新たなICTピラミッドを創造する目玉とすることはできないのか。ICT3層ピラミッドに影響を与えるNGNとはどんなものなのか、次回はそのあたりについて指摘したい。

著者プロフィール:エリック 松永

エリック 松永

19世紀米国の二大発明家グラハム・ベルに起源を持つ米通信会社AT&Tにて、ネットワークコンサルティングの領域を担当。アクセンチュアで「ネットワーク」を柱にコンサルティングを展開する。独自の切り口はクライアントから高い評価を得る。現在、日系大手シンクタンクにて通信事業者に対する戦略コンサル、および新規事業開発に携る。


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