「安定」と「更新」のはざまで――Debian 4.0r4aリリースDebian Report

サーバ用途で人気の高いLinuxディストリビューションの1つであるDebian GNU/Linux。その最新動向を紹介しよう。

» 2008年09月09日 13時30分 公開
[やまねひでき,ITmedia]

 Linuxディストリビューションは多種多様である。毎日のようにLinuxカーネルの更新が実施され「実験場」と化しているFedoraのようなディストリビューションがある一方で、サーバ用途がメインのRed Hat Enterprise Linux(やそのクローンOSであるCentOS)などのように、基本的に「セキュリティ修正」と「重大なバグの修正」のみを行うディストリビューションもある。

 Red Hat Enterprise LinuxやCentOSと同様、リリース版(安定版、stableともいう)ではセキュリティ修正・重大なバグ修正・ライセンス問題の解決以外は基本的に受け付けないため、「保守的」と一般に言われているDebianだが、今回の更新リリース(4.0r4a)ではユーザーの利便性を重んじ、利用できる機器数を増やすために新たなLinuxカーネル(2.6.24)とビデオドライバの導入を行った(なお、従来のLinuxカーネル2.6.18を採用したバージョンも提供されている)。これにより、ハードウェア構成が比較的新しい場合にインストールができないという問題が、かなりの割合で解決されるものと思われる。Debian 4.0r4aの詳細については、Debian JP Projectのサイトで確認できる。

 サーバ用途ではCentOSなどと並んでよく用いられるDebianだが、LinuxカーネルやPHPなどのバージョンはCentOSと比べてDebianの方が新しい場合もある*点はあまり知られていない。「安定」を求めつつ実は「単に古い」というわけではないのだ。

 予定より遅れてはいるが、おそらく2008年内に出ると思われるDebianの次のメジャーリリース(バージョン5.0、コードネームはlenny)では、2008年7月にリリースされたLinuxカーネル2.6.26をベースに各種調整が行われる予定で、その様子は開発者向けアナウンスのメーリングリストでうかがえる。これらの情報については、Debian Developerである武藤健志氏のブログに日本語で詳しい情報が載っているので、そちらを参照するとよいだろう。

 なお、lennyの次のコードネームについてだが、伝統にのっとってToyStoryのキャラクターから「squeeze」(3つ目のエイリアン)という名前になるとの公式発表があった。Debianのコードネームの元になったキャラクターらがどのようなものか、ToyStoryを見直すのも一興かもしれない。

このページで出てきた専門用語

Debianの方が新しい場合もある

 DistroWatch.comに掲載されているCentOSDebianの情報から比較。ただし、当たり前だがこのサイトの情報だけをうのみにしないように。筆者も間違いを指摘するメールを送った経験がある。


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