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周りの人はあなたの仕事をしっかり見ています戦略プロフェッショナルの心得(7)(3/3 ページ)

» 2008年09月30日 08時00分 公開
[永井孝尚,ITmedia]
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 マーケティングを担当している方々のコーチングを行わせていただく場合でも、この質問に対するその人の答えを一緒に考えるようにしています。

 「いや、自分は考えたこともないし、そんなものは持っていない」という人も多いのですが、実はそんなことはないのです。

 例えば、あなたが新入社員だった頃のことを思い出してみてください。社会人1年生として入社してからの1年間、自分はあまり成長していないようなジレンマを感じながら夢中にやっていた人も多いと思います。しかし、1年後に入社してきた新入社員と、入社して1年が経過した自分を比べて、知らない間に大きく成長している自分を見つけた経験がどなたもあるのではないでしょうか。わずか1年の新人の期間中に、仕事を通じてさまざまな経験をし、仕事の暗黙知を蓄積しているのです。

 実際、毎年4月の通勤時に出会うようなひと目で社会人1年生だと分かる初々しい人たちも、2、3カ月も経つと見事にたくましい社会人となり、ビジネスパーソンの中に溶け込んでいます。1年間でこれだけ違うのです。数年間、十数年間、または数十年間取り組んできた仕事から、誰でも大きな学びを得て、暗黙知や問題意識を身に付けています。

 問題はそれが形式知として、見える形で整理されていない点です。見える形で整理することで、問題点と将来の目標も見えてきます。1度、仕事を通じて自分が得たものは何かを改めて考えて、棚卸しと整理をしてみてはいかがでしょうか。実際に行ってみるとなかなか大変な作業ですが、必ず大きな見返りがあります。

 冒頭の2つの質問をする場合、質問をする側にも力が求められます。相手の回答の中にある深い暗黙知の世界を理解しなければならないからです。

  • あなたは、マーケティングとはどのようなものだと考えますか
  • あなたが担当している業務分野について、これから3年間のあなた自身が考える戦略を教えてください

 これらの質問に対して、即座に回答できるように常に考えていたいものですし、この回答をいつでも受け止められるように自分自身を高めていきたいものです。

 7回にわたってお付き合いいただいたこの連載も、今回が最後です。最後までお読み下さり、ありがとうございました。

(注)本書に掲載された内容はわたしである永井孝尚個人の見解であり、必ずしもわたしの勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。

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著者プロフィール:永井孝尚(ながいたかひさ)

永井孝尚

日本アイ・ビー・エム株式会社ソフトウェア事業部にて、マーケティングマネージャーとして、ソフトウェア事業戦略を担当。グローバル企業の中で、グローバル統合の強みを生かしつつ、いかに日本に根ざしたマーケティング戦略を立てて実践するのか、格闘する日々を送っている。アイティメディア「オルタナティブブログ」の「永井孝尚のMM21」で、企業におけるマーケティング、ビジネススキル、グローバルコミュニケーション、及び個人のライフワークについて執筆中。


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