独立系企業の売り上げアップ、カギを握るのは営業さん？：ビジュアルなグラフで理解（3/3 ページ）

[ITmedia]

江水君　母体による売り上げのイメージは分かりました。でも、業態による売り上げの差はどうなっているのですか？　やっぱり、業態と売上高は関係があるのでしょうか。

冠里さん　良い指摘です。ではまず、派遣系の企業を見てみましょう。下の図を見てみましょう。

図5：【規模×母体】派遣→【規模×母体】派遣×50〜100億

江水君　へぇ。売り上げ規模50〜100億円の企業が多いのですね！

冠里さん　そうです。業態によって、基本的に売り上げ規模の上限が決まっているのです。では、最も売り上げの上限が高いのはどの業態だか分かりますか？

江水君　システム開発全般です。

冠里さん　ご名答！　ただし、システム開発全般は売り上げ規模50億円以下の企業も存在します。言い換えれば、売り上げ規模のレンジが最も広いのも、システム開発全般の業務を行っている企業なのです。

江水君　では、メーカー系のようにさまざまな得意分野を持つ関連企業を抱えたグループ企業の場合、個々の企業の売上高とその企業の業態とに間には、同じような関係があるのですか？

冠里さん　良い質問ですね。その答えは下の図で分かりますよ。

図6：【規模×母体】1兆×システム開発全般→富士通のグループ企業別の売り上げ

江水君　グループ企業内でも、売り上げ規模がまちまちですね。

冠里さん　売り上げ規模2000億円台の企業のうち、富士通エフサスは主に運用アウトソーシングを行う企業ですし、1000億円台の富士通ビジネスシステムやPFUなどはシステム開発全般を行っている企業です。

江水君　なぜ、運用＆アウトソーシング系の企業の売り上げが高いのですか？

冠里さん　それは、運用＆アウトソーシングはインフラ産業と位置付けられるからです。データセンターや回線などの設備を提供する運用＆アウトソーシングは、スケールメリットが出やすい業態です。だから、1つの企業がサービスを提供した方が合理的です。一方、システム開発の業務は、顧客企業の業界や業務などによって、求められるスキルが変わってくる。だから、分けるメリットもあるのです。

江水君　勉強になります！

冠里さん　それは良かった。実は、これまで6回に渡ってIT業界のことを学んできましたが、今回でとりあえず業界についての勉強は最後です。次に、もし会うことがあったら、別のテーマを学んでみましょう。

江水君　まさか、ぼくより先に転職するつもりじゃないですよね！？　「もし」なんて、寂しいこと言わないでくださいよ〜。

著者紹介

イノウ業界研究会　業界、会社、仕事のことを、「動く図表」「リアルなキャラ」「MECEな文章」を使い、Webと書籍の連動で「分かりやすく」解説することを目指しています。IT業界については「IT業界 しくみとながれ」、コンサルティング業界については「コンサル業界 しくみとながれ」でも動くグラフのサービスを提供中。

『世界一分かりやすい　IT（情報システム）業界の「しくみ」と「ながれ」』（amazonへのリンク）　イノウ業界研究会編著

江水くん、冠里さんをはじめとするキャラクタが解説する業界の「入門書」。IT業界を「分かる」ために必要な「業界の知識」「会社の知識」「業務の知識」「基本の知識」を提供。

※本連載は、＠IT自分戦略研究所と共同企画でお届けしています。