世界展開する中堅製造業、本社の低コストで短期間のERP導入が成功の切り札Inforum 2008 Report

米Inforのジム・シェイパーCEOと日本インフォアの村上社長は、ラスベガスで開催された「Inforum 2008」会場で同社の長期的なビジョンと、日本市場での取り組みについて言及した。

» 2008年10月20日 18時18分 公開
[杉浦知子,ITmedia]

 「今後4年強で、新しい技術に3億2500万ドルの投資をする」

ジム・シェイパーCEO Inforのジム・シェイパーCEO

 米Infor Global Solutionsのジム・シェイパー会長 兼 CEOは、10月15日にラスベガスで開催された同社主催のカンファレンス「Inforum 2008」でこのように宣言した。「今後も(Inforの成長を支えてきた)買収戦略は踏襲するが、“Infor MyDay”のようなオリジナル製品の開発にも積極的に取り組む。そのための投資だ」

 併せてシェイパーCEOは「2009年までにInfor MyDayを含む19のSOAコンポーネントを提供する」と発表した。製造業のビジネスや業務上の課題解決を支援する「ERP Syteline」、経費生産管理の「Expense Management」、設備資産管理の「EAM」の3つのソリューションをSaaS形式で提供することも明らかにした。

 Infor MyDayは、ビジネスネットワーク上に分散する業務データをブラウザ上で管理できるインタフェースを提供するアプリケーション。シェイパーCEOは「Infor MyDayを使うことでビジネスネットワーク上で、柔軟かつ適切な意思決定ができるソリューション環境が実現できる」と述べた。

Inforのブルース・ゴードンCTO Inforのブルース・ゴードンCTO

 Inforのブルース・ゴードンCTO(最高技術責任者)は、エンタープライズ向けソフトウェアの動向について、年代ごとに解説をした。「70年代、企業は部署ごとに分散されたシステムを構築していた。90年代は、エンタープライズソリューションとして、すべての情報を一元化するソリューションが主流となった」と流れを説明した上で、情報を一元管理するソリューションの問題点をこう述べた。「システムに大規模な機能拡張を施そうとすると、すべてのシステムをアップグレードする必要性が生じる。アップグレードするロジックの組み込みが複雑になってしまう状況だった」そこでゴードンCTOは「2008年からはネットワーク集中型のシステムが主流となる」と提唱した。「ネットワーク集中型のシステムでは、必要な機能を必要な時に、システム全体をアップグレードすることなく導入できる」と続けた。

 日本におけるInforの拠点、日本インフォア・グローバル・ソリューションズ(日本インフォア)の村上智社長は「グローバル展開をしている企業や、多国籍で異なるERP製品を使っている企業にとって、ビジネスをネットワーク型に展開できるわれわれのERP製品が最適」と話す。

 「グローバルにビジネスを展開する日本の中堅製造業の課題は、統一したERPの利用で解消できると考えられていたが、成功した企業はない」と村上社長。日本の中堅製造業が抱える課題とは、「海外でのビジネス状況を日本の本社で把握できておらず、日本の本社がITガバナンスとして機能していない」ことだという。また「欧米と比較して、日本はERPへの投資費用が4〜5倍、導入期間は1.5〜2倍掛かっている」と、日本企業のERPへの投資について「コストを掛けすぎている」と話す。

 「このような課題を解決できれば、グローバル化の成功と経営効率化につながる。日本の本社でいかに低コストで、短期間でERPを導入できるかが鍵となる」と村上社長は話す。InforのERP製品、そして日本インフォアが掲げる、短期間で低コストの導入支援戦略がこれを支えるという。テンプレートを導入することで短期間での導入を実現できる。

 村上社長は、「すべての企業に完全に当てはめることはできない」と前置きした上で、「日本インフォアでは、ERP製品を280人日で導入できるプロジェクトを実行している。来年中ごろまでには、導入コストが5000万円を切るようなプロジェクトに挑戦したい」と意欲を見せた。

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