日米メディアや航空会社が追求するWebの品質(2/2 ページ)

» 2008年10月23日 10時15分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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ユーザー視点で品質をチェック

 Webを利用するサービスではコンテンツ配信だけではなく、インターネットバンキングやオンラインショッピングなどのように決済処理が伴ったミッションクリティカルなものも増加している。このようなサービスでは、サービスの遅延や中断ばかりではなく、決済処理が正しく行われたなど、さらに細かい品質が求められる。

 日本CAは10月22日、Web型サービスの品質や性能を一般消費者などのエンドユーザー視点で管理できるというソフトウェア「CA Wily Customer Experience Manager 4.2(CEM 4.2)」を発表した。

 CEMは、インターネットを介してやり取りされるエンドユーザーと企業システム間の状況を監視する。エンドユーザーからのリクエストに対する処理の遅延状態やネットワークのスループット状況、トランザクションの消失頻度、サーバのレスポンス状態などを測定する。擬似的にWeb上のトランザクションを発生させて、その状況を監視することもできるという。

CA Wilyでの製品連携イメージ

 同社では企業内にあるWebシステムのトラブル監視や解析を行う「CA Wily Introscope」を提供しており、CEMとIntroscopeを連動させることで、実運用しているWeb型サービスの品質がどのような状況にあるかを把握できるという。また、トラブルが起きている場合にIntroscopeで原因がどこにあるのかを解析でき、復旧や改善の対応が迅速に取れるという。

 営業本部長の脇本亜紀氏は、「Web型サービスでは、企業内システムや通信事業者のネットワーク、クライアントなど関わる要素が多岐にわたり、トラブルの原因がどこにあるかを切り分けるのが難しい」といい、新製品では実サービスを運用しながらサービス品質を維持するための行動を企業が取れるようになると説明する。

 CA Wilyは米国の金融機関や通信事業者などを中心に世界全体で約1000社が導入している。ユーザー企業が監視しているWeb型サービスは、インターネットバンキングや本社・支社間で運用するWebの業務アプリケーションなどさまざまだ。

 導入企業のうち、オーストラリアの航空会社Qantas Airwaysでは、同社Webサイトで提供する航空券発行サービスの管理にCA Wilyを利用しているという。航空券発行サービスでは、決済システムや顧客情報管理、予約管理システムなど33種類のシステムが関与しており、インターネット利用者が航空券を予約する際のスムーズな処理とトランザクションの安定性向上が重要事項であったしている。

 Qantasはサービスの監視環境を導入したことで、Web型サービスのパフォーマンス改善や問題解決の迅速化が図られたと、日本CAでは説明している。

 脇本氏は、「Webアプリケーションの普及を受けて、小さなトラブルでも事前に検知、対処することでエンドユーザーへのサービス品質を維持し、満足度を高めようと意識する企業が増えるだろう」と話す。

 アカマイの小俣氏は、「クラウドコンピューティング環境を土台としたWebアプリケーションが広がると、トランザクション管理やサービス品質をどのように確保するかが課題になる。これらの点に対応できるサービスを選んでほしい」と話している。

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