インタビュー
» 2008年11月04日 08時00分 公開

丸山不二夫が語る「クラウド時代にわたしたちがすべきこと」 (2/2)

[西尾泰三,ITmedia]
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クラウドを補完するモバイルデバイス

―― クラウド以外にテーマに掲げられている、「SOA、モバイルデバイス」についてですが、これらがクラウドとどう関連するのかを教えてください。

丸山 ネットワークを通じてサービスを提供するのはSOAの一番本質的な部分で、それをビジネスモデルにまで高めたのがクラウドといえます。また、EC2/S3のようなプリミティブなサービスではなく、アプリケーションを丸ごとクラウド上でサービスとして提供するSalesforceらのSaaSモデルもあります。これらはSOA的に考えると、大きな粒度の大規模なサービスのみを提供していますが、SOAの1つの形態と考えることができます。

 また、クラウドはある意味サーバ/クライアントモデルの究極の形といえますが、クラウド上のサービスは、エンタープライズシステムのみを対象にしたものではありません。膨大な数の個人がインターネットの世界に登場し、クラウドのサービスを直接享受するようになるでしょう。そして、サービスを受け取る主要なデバイスは、PCからモバイルデバイスにその比重を移してゆくはずです。

 すでに今日のエンタープライズ市場は、企業システムだけを指すのでは不十分です。ITの進化により、家電や携帯端末、自動車などにもコンピューターが組み込まれています。このことが、エンタープライズ市場が相対的に地盤沈下している一因でもあります。

 組み込みというと、何だかエンタープライズシステムのサブセットのように思われがちですが、今日の組み込み機器――例えばモバイルデバイス――が持つ処理能力は一昔前のスパコンを軽く追い越しているわけです。重武装したマシンを誰もが簡単に所有できる時代にあって、参入障壁が非常に低いAndroidは、市場に対していい刺激を与えることになるでしょう。長い目で見ればiPhoneよりAndroid型のビジネスモデルの方が広まると考えます。

 これらの点において、クラウドと新しいモバイルデバイスは相補的な関係にあるといえます。クラウド/モバイルデバイスという壮大な垂直軸の形成は、技術的にはサーバ/クライアントモデルの巨大な規模での再構築にほかならないのです。

―― クラウドは巨大なシステムですが、昨今のモバイルデバイスの爆発的な普及、そしてそれらがクラウドに接続されるとなれば、現在のクラウドの力では足りないと思います。

丸山 快適なサービスを提供するための余地があるということです。こうした動向は、RIAの動きとも連動しています。従来のWebアプリケーションは、どちらかといえばブラウザを搭載した表示端末のようにとらえています。つまり、クライアントの力を引き出すには至っていないわけです。ここにRIAがどう絡んでくるかは注視しておくべきです。

―― 日本からもクラウドプレーヤーの登場を期待したいところですが、どういった企業がクラウドプレーヤーたり得るのでしょう。

丸山 例えば通信キャリアが挙げられます。彼らは膨大な数のサーバを抱えていますが、ネットワークのクオリティで勝負するのではなく、サービスを提供すべきであると考えます。ただ、通信キャリア大手であるNTT東西地域会社はいわゆるNTT法によって県境を越える通信サービスを認められていないなど、法律が現実に即していないように思える部分もあります。

 そもそもインターネットによるサービスとは、地理上の距離にとらわれないもので、クラウドも本来そうあるべきです。また、バックアップなどを考えてもクラウドはグローバルに分散している方が有用です。そうした中で、データの置き場所に対する法規制の問題などが議論されることもありますが、例えば、GmailやFlickrなどでデータがどこの国のサーバに置いてあるかを気にしたことがあるでしょうか。そういった議論はクラウド時代ではさほど意味を持たないのです。

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