矢野経済研究所は2008年6月〜9月にかけてCRMアプリケーション市場の調査を行った。CRM市場においてSaaS型の伸びが目立っており、2009年には自社運用型を上回る勢いとなっていることが分かった。
矢野経済研究所では、2008年6月〜9月にかけてCRMアプリケーション市場の調査を行ったが、その結果、CRM市場においてSaaS型(オンデマンド型と同義、ASPも含む)の伸びが目立っており、来年(2009年)にはSaaS型が自社運用型を上回る勢いとなっていることが分かった。
昨年も同時期に調査を行い、当時は2009年予測として全体の33%がSaaS型になるだろうと予測したが、SaaS型の伸びは、その予想を上回るスピードだった。SaaSに対しては懐疑的な見方もくすぶっているが、もはや無視できない存在になったのは明らかであろう。
まずは市場の概況を眺めておこう。矢野経済研究所が実施したCRMアプリケーション市場の調査では、ライセンス売上高(エンドユーザー渡し価格ベース)は、2006年に約146億円であったのに対し、2007年には約162億円と対前年110.8%となった。2008年はオンデマンド型の成長が貢献し、対前年115.9%の約188億円になる見通しである。
今後もCRMアプリケーション市場はSaaS型の成長をエンジンに拡大し、2011年には約249億円になると予測する。これは2005-2011年のCAGR(年平均成長率)で11.9%となる成長である。
ここ数年、良好な経済環境に加えて、コールセンターのリプレイス時期を迎えていたこともあり、CRM市場は順調な成長を見せていた。ところが2007年は自社運用型の一部でマイナス成長となる動きが見られ、成長率は鈍化することとなった。2008年も景気後退の流れを受け、大規模案件の減少など厳しい側面をみせているが、一方でSaaS型が順調な成長をみせており、今後も市場をけん引していくと思われる。
ただし、調査後にもシステムインテグレーターなどと意見交換を行っているが、現場感覚としては、急速に市況が悪くなっているという声も聞かれるため、楽観できる状態ではない点には注意が必要である。
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