「話題にはなっているが、クラウド市場はまだ緒に就いたばかりだ」とEnterprise Strategy Groupのストレージアナリスト、テリー・マクルーア氏は語る。「WAN(広域通信網)帯域のコスト、セキュリティの懸念、信頼など、障害となる要素は多い。だが列車は既に駅を出て、加速している」
「どの企業もクラウド戦略を持っている。非常に多くのベンダーがクラウド戦略を立てているため、ユーザーはクラウドが何なのか分からなくなっている。今回の発表はEMCにとって始まりにすぎない。同社が明らかにしたのはクラウド戦略ではなく、クラウド向けに最適化されたストレージとしてパッケージされたソフトウェアだ。今後さらに発表がある。ここでEMCが伝えようとしていることは明白だ――ストレージに関することだ」(同氏)
EMCはAtmosで、「クラウド最適化ストレージ」という新しい市場セグメントを確立すると言い切っているとマクルーア氏は言う。
「ほとんどのスケールアウトアーキテクチャは(メディア、エンターテインメント、Web2.0マルチメディアや)HPC(高性能コンピューティング)のような高帯域、大容量ファイルの共有向けに設計されている」と同氏。「AtmosはHPCファイルストレージを新たな用途に転用したものではなく、インターネット経由で使うために一から設計されている。集中管理型分散アーキテクチャであって、グローバル名前空間を持つローカルファイルシステムではない」
Atmosは、ファイルを数百カ所で保存して配布できるよう拡張しつつ、単一のシステムとして管理できるよう設計されている。
「わたしなら、Atmosをほかのベンダーが提供してきたほとんどの製品と同じ分類には入れない。だからHP ExDS9100やIsilonと比較することもないだろう」とマクルーア氏は言う。「Amazon S3とも比較はしない。サービスではないからだ。だが、Nirvanixのように近いところまで来ている新興企業はある。だがNirvanixは、ファイルシステムベースのアーキテクチャを提供しており、関連するファイルシステムのセマンティクスと管理機能をすべて備える」
IDCのエンタープライズストレージ調査責任者ベン・ウー氏は、Atmosソフトウェアは基本的に、情報に「コンテキスト」を与えるとしている。
「従ってAtmosのような新種の情報インフラは、『any to any(どこからどこへでも)』型アーキテクチャによる情報の可動性の恩恵を受けるビジネスの可能性を明らかにする手助けをしなくてはならない」(同氏)
「高い柔軟性と詳細なポリシーでこのアーキテクチャを活用する企業は、競争において大きなアドバンテージを得るだろう」
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