ニュース
» 2008年12月01日 16時31分 公開

覇権争いの幕開け:なぜMicrosoftはSaaSでGoogleを脅かすことになるか (2/2)

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK
前のページへ 1|2       

アナリストはGoogleの成功を

 一方、InterArbor Solutionsのアナリスト、ダナ・ガードナー氏は、そうした意見とは立場を異にする。同氏によると、Googleは可能なかぎり迅速に、かつ広範にWebへの浸透を深めているが、Microsoftは歴史的に見てもインターネット上で後手に回るケースが多かったと指摘する。

 AzureはMicrosoftがようやくクラウドコンピューティングに本腰を入れて取り組み始めたことを示唆しているが、それでも同社にはまだ守っていかなければならない伝統的なオンプレミス(自社運用型)ソフトウェアビジネスがある。

 「マイクロソフトにとっては、ピーターとポールをトレードするようなものだが、ポールのほうがピーターより戦力的には劣る。一方のGoogleは、広告ビジネスですでに確立した有利なポジションをさらに強化するだけだ。Googleはまた、市場を支配し、独占するために攻撃的になっている、と非難されないように細心の注意を払ってきた。自前のクラウドに取り込めそうな機能のタネを数多くまきながら、慎重に先へ進んでいる」とガードナー氏は語る。

 ガードナー氏によると、クラウドコンピューティングの生態系において、GoogleをMicrosoftより優位なポジションに導いているのは、こうした無難で当たり障りのないアプローチだという。この生態系では、伝統的なライセンスシナリオにつきまとう囲い込み戦略は嫌われる。

 Microsoftは難しいポジションにある、とガートナー氏は指摘する。なぜなら、同社がクラウドに移行しようとすれば、人々は「Microsoftが再びオフィスソフトやCRM、ERP、データ管理、ポータルなどを独占するのではないか」と身構えるからだ。

 「Microsoftがポートフォリオをクラウドへシフトする姿勢を強めるとともに、クラウドパートナーインフラストラクチャモデルを目指すプレーヤーたちの生態系に大きな脅威となって影を落とし始めている。高望みをしたり、クラウドコンピューティングビジネスを支配しようとしないかぎり、この生態系は維持される。このビジネスは、誰かのインフラの上で提供するサービスの、さらにその上で提供するサービスだ。それらのサービスがどのように相互に利益をもたらし、ビジネス価値を生み出すかは、すべてクラウドが何を約束しているかによる。誰かがクラウドにやって来て、“わたしたちには何でもあります。さあ、ここにサインして、あとのITビジネスはすべて忘れましょう”とユーザーに迫っても、それ以上リスキーに聞こえる話はないだろう」とガードナー氏は語る。

 つまりガードナー氏の意見はこうだ。Microsoftはあくまで自社のオンプレミスソフトウェアを守ろうとするだろう。そしてすべてを独占し、市場を支配しようとするMicrosoftに対して、SaaSを経由してITのコントロールをすべて手渡してしまうことに、ユーザーは強く抵抗するに違いない。

 つまり、Microsoftのオンプレミスソフトウェアにおける支配的ポジションも、クラウドにおいてはアキレス腱になる? 「そうだ。そしてMicrosoftのポジションがクラウドにおいて再現されることはない」とガードナー氏は断言する

 「結局、クラウドモデルとは、参加者全員が利益を共有し、そのビジネスモデルを生み出す生態系に貢献することなのだ」と同氏は付け加える。

 さて来年、あなたはどちらの陣営の門をくぐるか?

過去のニュース一覧はこちら

前のページへ 1|2       

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ