2008年の半導体業界の売り上げは減少――Gartnerの報告IntelとQualcommは増収見込み

現在の金融危機がIT企業および技術ベンダー各社に深刻な影響を及ぼす中、世界の半導体メーカーの2008年の総売上高は4%以上も減少する見込みだ。IntelとQualcommは2007年と比べて増収を達成するが、Samsung、東芝、Texas Instrumentsといった大手メーカーは減収となる見込みだ。

» 2008年12月17日 06時25分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
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 Gartnerが12月12日公表した報告書によると、IntelとQualcommは2008年、半導体事業で何とか増収を達成するが、世界各国のその他半導体メーカー各社は減収となる見込みだ。金融危機が企業のIT投資と消費支出に深刻な影響を与えているのが原因だ。

 Gartnerの報告書では、全世界の半導体産業の2008年の売上高は2619億ドルで、2007年の売上高2730億ドルと比べて4.4%減少すると予想している。Gartnerによると、半導体業界の売り上げが減少するのは、過去25年間で今年が5回目だという。

 デスクトップ、ノートPC、サーバシステム用のx86プロセッサの世界最大のメーカーであるIntelの今年の売り上げは342億ドルになる見込み。これは2007年と比べて約1.1%の増収となるもの。Gartnerのこの推定には、Intelが今年分社化したNORメモリ事業も含まれている。Intelの現在の事業だけを見た場合、同社の売り上げは6.5%の増加となる見通しだ。

 世界の大手半導体企業の中ではQualcommも増収となる。同社のCDMA(Code Division Multiple Access)技術を搭載した携帯端末の需要が貢献した。Gartnerの推定では、Qualcommの今年の売り上げは15%増の65億ドルになる見込みだ。

 9月に金融危機が本格化して以来、企業およびコンシューマーはIT機器、特にPCの購入を手控えるようになった。この状況は、Hewlett-Packard(HP)やDellなどのPCベンダーだけでなく、IT機器向けのチップを供給している企業にも深刻な影響を及ぼしている。HPとDellはそれぞれ、2009年の売り上げに関して慎重な予測を示している。

 Intelは既に、同社の10〜12月期の売り上げが予想を下回るとの見通しを明らかにしている。Gartnerの半導体売り上げリストのトップ10に入らなかったAdvanced Micro Devicesも、10〜12月期の売り上げに関する声明を発表した。

 Gartnerのアナリスト、アンドリュー・ノーウッド氏は12月12日の報告書の中で、「ベンダー各社にとっては残念ながら、2009年はかなり状況が悪化するだろう」と述べている。「今回の半導体需要の激減は、2001年のドットコムバブル崩壊の状況に似ていると言う人もいる。しかし2001年の場合とは異なり、この景気後退はIT業界などに限定されたものではなく、はるかに広範囲に及んでいる」

 Intelは半導体の売り上げでトップの座を維持し、Samsungが第2位につけた。Gartnerによると、Samsungの半導体の総売上高は179億になる見込みで、これは2007年と比べて12.5%の減少である。

 東芝の2008年の半導体売り上げは昨年比で11%減少し、Texas Instrumentsも17%近くの減収となる見込みだ。STMicroelectronics、Infineon Technologies、Renesas Technology、Hynix Semiconductorも今年は減収となる。

 Gartnerのリストで10位となったNECエレクトロニクスの2008年の売り上げは、5.3%増の59億ドルになる見込みだ。

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