景気後退期に生まれる新しいビジネスを支えていく「2009 逆風に立ち向かう企業」弥生(2/2 ページ)

» 2009年01月09日 08時00分 公開
[聞き手:横田貴司,ITmedia]
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ITmedia ユーザーニーズの汲み上げについて、どのような取り組みをしていますか。

岡本 わたしたちにとってそれを実現できる最大の土壌はカスタマーセンターです。ユーザーの声が直接届く場所ですので、いただいたご意見・ご要望を共有できる体制を作っています。また、カスタマーセンター以外にも営業のスタッフも当然おりますので、営業経由でご意見をいただくこともあります。

 これはまだ実現していない、あくまでも希望なのですが、開発スタッフを1カ月単位でお客様のところに常駐させ、実際に製品が使われている現場でお客様のご意見を吸い上げていく、ということもできれば良いと思います。これが実現できれば、お客様が本当に求めていることを開発スタッフが理解するうえで、かけがえのない経験になるのではないかと考えています。

 当社の製品のユーザーにはさまざまな業種の方がいらっしゃいます。また、製品を実際に使う方も、コンピュータの扱いに慣れている方から、弥生製品で初めてPCに触れるという方までさまざまです。多種多様なユーザーニーズの中から、よい意味での最大公約数を見出していかなくてはなりません。すべての方に100%の満足を得ていただくのは難しいですが、90%の方に90%の満足をしていただき、足りない部分はコストメリットでカバーできるというのが、わたしたちの強みでもあります。

ITmedia 今おっしゃった「最大公約数」を見つけるにはどうすればよいのでしょう。

岡本 わたしどもの製品で言えば、会計に関しては依拠する法律などが明確であるため、要件定義は比較的容易です。そこから最大公約数の1つを見出すこともできるのではないかと思います。難しいのが販売管理や顧客管理です。業種・業態によって多様なやり方がありますので、先ほど申し上げたような最大公約数を設定するのが困難です。このようなケースでは、コードに手を入れない範囲で、パラメータや設定を調整できるよう配慮したり、業種別のテンプレートを用意するなどで対応しています。

 ただ、メニューは多ければよいというものではありません。機能の向上のためのプログラムは裏側で動いていればよいので、すべての要素をユーザーに見せることが必ずしも親切にならない場合もあります。例えば、子供やシルバー層向けに機能を絞った携帯電話などがありますが、そういったアプローチも1つの方法なのではと思います。

 先ほど「お客様の裾野が広がっている」と申し上げましたが、お客様の中にはPCにあまり馴染みのない方も増えています。そのような方に「あれもできる、これもできる」といっぺんに見せてしまってはかえって混乱を招くこともあるでしょう。

 わたしたちの製品のテーマに「かんたん・やさしい」というものがありますが、その定義を常に検討し、製品に反映していきたいですね。

 お客様の目的はソフトウェアを買うことではありません。お客様にとってソフトウェアはあくまで手段。お客様の業務がきちんと成立するような製品の使い方ができる環境を整えてあげることが大切です。お客様が安心して本来の業務に注力できる環境を提供することが価値となるでしょう。

ITmedia あらためて、今年の抱負を聞かせていただけますか。

岡本 2008年は新しい弥生に向けての準備の一年でした。その成果が表れる2009年には期待しています。昨年は会社として変わらなければならないときに、社員一丸となってがんばってきました。社員には本当に感謝したいです。そのおかげで、胸をはってアピールできる製品もそろってきました。今年はその製品を世に発表していくことになります。これは楽しみでしょうがないですね。

 おかげさまで、お客様には高い期待を寄せていただいてます。お客様の満足度とは、お客様の期待値と実際に提供された製品やサービスとの差分です。高い期待をいただいているぶん、それを上回るものを提供しなければ、満足度は下がってしまいます。これからも期待に応えられる製品を作っていきたいですね。

ITmedia 将来に向けて、どのような展望をお持ちですか。

岡本 景気後退期は新しいビジネスが生まれる時期でもあります。例えばアメリカの歴史を見ても、不況期に次の時代を担うビジネスや企業家が生まれています。

現代の日本においてもそのような動きは出てくるはずです。次代のビジネスの萌芽をわたしたちがサポートしていけたらと考えています。

ITmedia 最後に、今年の個人的な目標を聞かせてください。

岡本 1歳の娘がいるのですが、これが可愛くてしょうがないのです(笑)。出掛けに泣かれたりしたときには、心を鬼にして会社に行っています。今年は、何とか子離れをしなくてはならないかもしれませんね(笑)。

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