Intel、プロセッサを値下げする見込み四半期決算発表後に

Intelは今週、第4四半期の低調な収支決算を発表する見込みだ。同社はさらに、マイクロプロセッサの値下げを近日中に実施するもようだ。Intelの四半期決算は、米国の景気後退がPC/サーバ市場およびIT業界全体に及ぼしている影響を推し量る指標にもなるだろう。

» 2009年01月15日 14時55分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Intelは今週、10〜12月期の収支決算を発表する。同社の業績は、米国の景気後退および世界的な景気減速が、企業とコンシューマーのIT支出にどのような影響を及ぼしているのかを推し量る重要な指標になりそうだ。

 世界最大のマイクロプロセッサメーカーであるIntelは1月15日、同社の10〜12月期の収支決算を正式に発表する。2008年10月に7〜9月期の決算を発表して以来、同社は二度にわたって、10〜12月期の収入が予想を下回る見込みであると警告した。

 Intelは当初、10〜12月期の収入を101億〜109億ドルと見込んでいた。しかし、2008年11月に同社はこの予想を90億ドルに下方修正し、さらに1月に入って82億ドルに修正した。さらにIntelは、半導体業界の収益性を判断する上で重要な指標となる粗利益率についても、従来の予想を下回るとの見通しを示した。

 ウォール街のアナリストは現在、Intelが発表する10〜12月期の収入は82億1000万ドルで、1株当たりの利益が4セントになると予想している。Intelの前年同期の収入は107億1000万ドルで、利益は1株当たり38セントだった。

 Intelは発表文の中で、「ハードウェア(デスクトップ、ノートPC、サーバシステム)の市場が減速しており、ハードウェアベンダー各社はチップの発注量を減らし、販売チャネルの在庫削減を進めている」と述べている。

 Intelの厳しい決算内容は、IT業界を取り巻く状況の悪化を反映するものであるとともに、企業とコンシューマーがPCなどのハードウェアへの支出を抑制していることを示しているようだ。

 Raymond Jamesのアナリスト、ハンス・モーゼスマン氏は、1月7日付の調査メモの中で、「Intelは10〜12月期の業績予測を最初に修正した半導体メーカーの1社だ。その後、市場の需要およびマクロ経済環境がさらに悪化した」と記している。

 こういった状況を受け、Intelは四半期決算の発表後すぐに、マイクロプロセッサの値下げに踏み切る可能性がある。Intelは通常、四半期決算の数日後に一部のチップの値下げを実施するが、今回の場合、チップの値下げは、Intelとその流通チャネルが抱えている在庫量を反映したものになるだろう。

 Technology Business Researchのアナリスト、ジョン・スプーナー氏によると、Intelは古い45nm(ナノメートル)のCore 2 Duoプロセッサの在庫を大量に抱える可能性がある。特に、Nehalemマイクロアーキテクチャをベースとする新プロセッサの販売が拡大すれば、その可能性が高くなるという。その場合、Intelは、古いチップの在庫を増やすか、値引きして販売するかという決断を迫られる。Intelが数年前にPentium 4プロセッサから最初のCore 2 Duoプロセッサに移行したときも、これと同じ状況が起きた。

 「Intelは、彼らが予想していたよりもかなり多くの在庫を抱え込むことになるだろう。これは2009年の大きな問題になりそうだ」とスプーナー氏は指摘する。「Intelは決断を迫られている。生産量を削減して減収を受け入れるか、それとも大量のチップを生産して在庫を増やすことで、値引きに伴う減収を受け入れるかという決断だ」

 現時点でスプーナー氏は、Intelが在庫を増やす可能性が高いとみている。しかしこの選択肢は、プロセッサの供給過剰という結果を招きそうだ。これはコンシューマーと企業バイヤーにとってはメリットになる。ハイエンドPC向けプロセッサを中心としてIntel製品の値下げを期待できるからだ。しかし、プロセッサの供給過剰でIntelが今年、32nmプロセッサに移行するのが遅れることはないだろう。

 1月22日に決算を発表するAdvanced Micro Devicesも、プロセッサの在庫に関して同様の問題を抱えている。

 Intelは1月15日の決算発表の際に、Atomプロセッサおよび新興のネットブック/ミニノートPC市場の現状についても説明するもようだ。一部のアナリストの間には、Intel Atomプロセッサが同社の古いCeleronプロセッサの市場を浸食しているとの指摘もあるが、Intelはその見方を否定している。

 こういった問題を抱えながらも、Intelの業績は年内に回復に向かうと予測するアナリストもいる。

 Deutsche Bankのアナリスト、ロス・シーモー氏は、1月13日付のメモで、「Intelがこの低迷を脱して、競争力をさらに高めるものと確信している」と述べている。

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