日本オラクルやピクシブなど、IT企業を中心に「社員犬」を導入する企業が出始めている。彼らは職場に安らぎを与え、企業の広報活動までを担当してしまう。こうした効用が経営層に理解されれば、近い将来、社員犬と一緒に仕事をする日がくるかもしれない。
週に1度会社を訪れ、従業員とふれ合い、業務のストレスを軽減する――こんな仕事をしている社員が日本オラクルにいる。社員犬の「ウェンディ」だ。同社によると、ウェンディと接している社員からは、リラックスした状態を示すアルファ波が計測できた。職場を取り巻く雰囲気の改善に社員犬が貢献している。
このように社員犬を導入するIT企業が増え始めている。イラストSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運営するピクシブは、社員犬自らが会社の宣伝役を買って出ている。その姿はビジネスマンならぬ「ビジネスワン」だ。あなたのオフィスでも社員犬が活躍する日がくるかもしれない。そこで、社内犬を飼うメリットや、導入に際して考えておくべきことなど、社員犬を取り巻く「今」を取材した。
「落ち込んだ時は、チョビと散歩をしてリフレッシュしてるんです」
こう話すのはイラストSNS「pixiv」を運営するピクシブの広報、濱吉玲奈さんだ。ピクシブは黒柴の「チョビ」を社員犬として飼っている。休憩用のソファー近くに置かれたペットゲージで「キュンキュン」と鳴き、社員を癒やすのが主な仕事だ。
もともと片桐孝憲社長のペットだったチョビは、2008年10月にオンラインメディアのニュースに取り上げられた。すぐさまチョビのイラストがpixivに投稿され、ユーザーの間で徐々に認知が広まってきた。2009年1月にはpixivのメンテナンス画面に首が伸びたチョビを登場させるなど、ユーザーとピクシブの距離を縮めるマスコットキャラとして前面に打ち出した。
こうしたやり取りでチョビの人気に火が付いた。反響の大きさから、ピクシブはチョビを社員犬として正式に採用。その後はイラスト展示会「pixiv フェスタ」に参加したり、Twitterに登場してイラストの投稿数を日々つぶやいたりするなど、精力的に活動を続けている。
ピクシブはオフィスの移転を検討し始めているが、「チョビを飼える環境」(濱吉さん)が引っ越し先の最低条件だという。社員に安らぎを与えるだけでなく、広報活動までを担当してしまうチョビは、今やすっかりピクシブの一員だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.