企業はPCを3年以内に買い換えるべき――報告書が指摘生産性低下による損失は9600ドル

古いPCを使い続けると、メンテナンスコストやセキュリティリスクの上昇、生産性の低下などで余分な経費が掛かることが明らかになった。

» 2009年07月07日 13時24分 公開
[Nathan Eddy,eWEEK]
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 市場調査・コンサルティング企業の米Techaisleが中堅・中小企業(SMB)を対象に実施した調査の結果、これらの企業では購入から3年以上経過した古いPCの修理に1台当たり326〜401ドルの経費が掛かっていることが分かった。

 この調査は世界7カ国の630社の企業を対象として今年3月に実施されたもので、SMBでは購入後3年以上が経過したPCを修理するのに必要な平均コストは、3年未満のPCを修理するための費用の1.65倍に上ることが明らかになった。

 従業員数が1〜19人の規模の企業に限れば、3年以上使用したPCに保証が付いているという企業の割合は26%にすぎないことが調査で示された。保証が切れたPCでは、修理やアップグレードに掛かる費用は545ドルに跳ね上がることも分かった。PCの平均アップグレードコストは1台当たり99ドルだった。

 アップグレード内容に関する質問では、「メモリの増設」と答えたSMBが最も多く、その次は「HDD容量の追加」だった。PCをアップグレードする最大の理由は、「PCが遅い」および「アプリケーションがより多くのメモリを必要とする」というものだった。さらに回答者によると、「3年以上使っているデスクトップはマルウェアやウイルスの攻撃にさらされやすい」(28%)、「ノートPCの場合はウイルス攻撃に耐える可能性が高い」(58%)としている。

 Techaisleの調査では、3年以上使用したPCで最も多い障害はハードウェアの故障で、その次に多いのがソフトウェアのクラッシュであることが示された。3年以上経過したPCを所有している中小企業では、3年未満のPCと比べてネットワークカードの故障を経験する回数が8倍近く多いことも明らかになった。それに続いて多い障害は、電源の故障、マザーボードの故障、ソフトウェアのクラッシュ、ウイルスの攻撃などだ。中堅企業の回答も同様の傾向を示しており、使用3年以上のPCではネットワークカードの障害発生回数が6倍に上り、電源の故障とマザーボードの故障がその後に続く。

 Techaisleの経営パートナーのアブヒジート・レーン上級副社長は「中小企業では予防メンテナンスが個々の従業員に任されているのに対し、中堅企業ではIT部門が管理ツールを利用して効果的な予防メンテナンスを実施している」と指摘する。

 「SMBが真剣に考えなければならないのは、自社のITシステムのセキュリティと最適稼働環境を維持するために、PCを計画的に退役させることだ」(同氏)

 技術調査会社J. Gold Associatesが今年発表した同様の調査報告書によると、多くの企業では、買い換えコストの削減のために、ノートPCの使用寿命を推奨期間の3年間から5年間に延長している。ノートPCの使用期間を3年からさらに2年延長すれば、実際には1台当たり960ドルの追加費用が発生し、これは標準的な買い換えコストと変わらないと同社は指摘する。またJ. Gold Associatesの推定によると、旧式の機器を使い続けた場合、エンドユーザーの生産性低下による損失は9600ドルに上る。

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