インタビュー
» 2009年09月09日 08時00分 公開

ターボリナックスは終わってしまったのか? (2/2)

[西尾泰三,ITmedia]
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Linuxディストリビューション開発はどうなる?

―― “使う”モデルにシフトするとして、ターボリナックスはもう新しいディストリビューションの開発は行わないのでしょうか。ターボリナックスは2000年から中国でLinuxプロダクト事業も展開していると思いますが、結局のところ、ライセンスを“売る”というのはここでも限界があったということでしょうか。

矢野 中国においては、ライセンスモデルでLinuxが収益を上げるのは難しいでしょう。世の中の仕組みすべてがプリペイド型となっている中国では、社会的にライセンスソフトウェアのようなモデルが定着しないからです。そういう意味では、サービスもプリペイドする方式に早々に移行するでしょうから、日本よりもクラウドに進む速度は速いと思います。

 また、これは良しあしだとは思いますが、中国では国策として国産のものを支援する状況があります。例えばGoogleでさえ中国でのシェアは10%であり、百度が圧倒的なシェアを占めています。こうした状況下で外資系の企業が参入しても、獲得できるパイは知れています。そこはうまく立ち回らなければならないでしょう。

―― Linuxプロダクトの開発は今後どうするつもりですか?

矢野 作ります。というのがお答えになります。ただし、われわれが今までどおり、あるいは今まで以上のコストを掛けて開発をするというのは、ビジネスモデルがライセンス売り切りのモデルである限りはあり得ません。

―― 先日、中国国務院下の国有企業である「中国電子科技集団公司」グループの普華基礎軟件股分有限公司(普華社)と提携し、共同開発センター「ターボラボ」を設立することを発表しましたよね。2008年のはじめには、ターボリナックスは仏国のMandrivaと提携し、共同開発を行うとしていましたが、方向転換を図るということなのでしょうか。

矢野 先ほどお話ししたように、Red Hatだけが生き残っているような状況で、傷ついている者同士が塩をなめあうような共同開発では立ちゆきません。パイが小さいのに開発陣は確保しなくてはならないわけですから。共同開発を行うのであれば補完的なものにする必要があります。

 日本もいっとき、オープンソースを声高に叫んでいた時代もありましたが、あれはきわめて表層的なものでした。Linux/OSSを導入した省庁のシステム構成をみても、決め打ちの構成でしかありませんでした。結局は見せ掛けのLinux/OSS推進でしかなかったのです。

 一方の中国ですが、彼らは彼らで問題意識を抱えています。どういうことかというと、国内でシェアを持っているLinuxディストリビューションのほとんどがRed HatもしくはRed Hatクローンであるという事実です。コマーシャルベースでRed Hatがはびこっているのが果たして国策といえるのか、独自カーネルのOSを考えねばならないのではないかという議論が起きていて、実際にかなりの額の投資を行って変えていこうとしています。

 普華社は、中国政府のOS開発予算10億元(約143億円)を獲得しており、この動きの中で大きな役割を果たすことになるでしょう。われわれも、日本でかたくなに守ってきたのは独自カーネルなので、そこで相補的な関係を構築できると感じ、この提携に至りました。


 総じていうと、ターボリナックスは大きな変革期にあるといえる。既存のビジネスモデルから大きくかじを切っているため、市場の評価も分かれやすいところだ。矢野氏は、既存のビジネスモデルと、新しいモデルの収益が半々になるのは2011年になるとみているというので、ここで結論を下すのはまだ時期尚早といえる。

 また、不安視されていた開発リソースも普華社との提携により、少なくとも200人規模となり、かなりの規模となった。中国独自のカーネルの開発という流れになれば、また新たな競争を強いられることにもなろうが、中国市場の大きさはそれを補ってあまりあるかもしれない。2010年にリリース予定とされている新OSの姿を注視しておきたい。

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中国 | Linux | Turbolinux | オープンソース | OSS


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