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芸能人ブロガーも集う仮想空間――「アメーバピグ」の可能性Second Lifeとの違いは?(1/2 ページ)

「Ameba」のサービスはブログだけではない。ここ半年は仮想空間「アメーバピグ」が予想以上の広がりを見せているという。芸能人も集うというサービスの現状と展開を聞いた。

» 2009年09月19日 08時30分 公開
[神野雄一&編集部,ITmedia]

 自分そっくりなキャラクターを設定し、ほかのユーザーとコミュニケーションを図れる仮想空間「アメーバピグ」が人気を博している。多数の芸能人・有名人ブロガーを擁し高い認知を誇る『Ameba』との相乗効果もあり、2009年2月にサービスインし、現在のユーザー数は100万人を目前にしている。運営会社のサイバーエージェントではこの半年を「会員数の推移は予想を大幅に超えたもの。アメーバピグを使いたいがために、「Ameba」を選択するというユーザーもいるようだ」と振り返る。8月31日の衆議院選挙投開票日に当たっては「白熱! 総選挙実況広場」が開設されユーザー間で国政に関する議論が巻き起こるなど、単なるエンターテインメントサービスを超えたソーシャルメディアに成長しつつある。このムーブメントの源泉を、同社はどのように見ているのか。同社アメーバ事業本部の山崎ひとみプロデューサーに話を聞いた――。

ユーザー同士の横連携でムーブメントが生じる

「アメーバピグ」の山崎ひとみプロデューサー。「ピグという言葉には、スウェーデン語で【楽しい】を意味します。また【小さい】ということも表すようです」

ITmedia ブログとの相乗効果を狙ったアバターサービスは、ほかにもある。ピグが差別化できている点はどこにあると考えていますか。

山崎P 「アメーバピグ」のコンセプトとして特徴的なのは「自分にそっくりな似顔絵感覚のキャラクター」であるという点です。ほかのアバターサービスでは、着せ替えやアクセサリの充実をうたうものが多いのですが、「アメーバピグ」ではキャラクター作成時、自分に似た顔を作れるよう、数多くの目、鼻などのパーツを用意しています。その結果、ユーザーがピグに対して感情移入できるようになっています。

 また、「仮想空間を自由に移動し、ほかのユーザーとコミュニケーションできる」ことも差別化要因に挙げられるでしょう。


似姿の作成を促すインタフェースになっている 似姿の作成を促すインタフェースになっている

ITmedia ピグで移動できる仮想空間には、例えば渋谷の109に似せたようなものもあるようですが、今後その中で、リアルなオンラインショッピングサービスを提供する予定はありますか。

山崎P 現時点では、まだ時期等具体的に決まっていませんが、構想自体はあります。

ITmedia 仮想空間で楽しめるのが1つのウリ、ということですが、最近「アメーバピグ」の世界で起こった出来事を紹介してください。

山崎P 最近で言うと、衆議院議員選挙の際は、ユーザー同士、選挙や、政党のマニフェストに関しての意見交換が活発にされているのが見受けられました。また先日、マイケル・ジャクソンさんが亡くなられた際には、ピグに黒い服を着せて、喪に服す……ということもありました。また「Ameba」と連携していることもあり、芸能人にも多くのユーザーがいます。例えば矢口真里さん、上原さくらさん、千秋さん、意外なところでZEEBRAさんとか……。彼ら(のピグ)に偶然出会える、ということもありますよ。

「あなたが総理になったら広場」に集うピグたち 「あなたが総理になったら広場」に集うピグたち

 もちろん、運営側から仕掛けるイベントもあります。例えば、ユーザーの方のピグのお部屋の写真を投稿してもらうという「お部屋コンテスト」や(注:「アメーバピグ」では、キャラクターのお部屋に、家具を自由に配置できる。)、お祭り会場を用意し、夏祭りも実施しました。また4月1日のエイプリルフールには、ピグを小さくする「裏コマンド」の効果を逆転させ、小さくしたつもりなのに画面を埋め尽くすほど大きくなってしまうという、いたずらめいた仕掛けもやりました(笑)。

 わたしたち運営側は常に「ユーザーに飽きられないように」ということを考えています。ピグにログインしたら、いつも新鮮な驚きを感じてもらえるようにしたいと思っています。定期的に新しいエリアを用意したり、アイテムを入荷させたりということはもちろんですが、先ほど紹介した裏コマンドのような、ちょっとクスっと笑ってしまうような仕掛けも盛り込んでいきたいです。こういったアイデアは、現場でピグの開発に携わっているクリエイターやエンジニアのほうからどんどん出てきますし、勝手に作ってしまうこともあるんです(笑)。

 ただ、ピグの行動の舞台となる仮想空間については、慎重に用意しています。まず、「作ったそのエリアで話題が生まれやすいかどうか」を基準に仮想空間のモデルとなる町や地域、時代の候補を選びます。そして候補が決まったら、そのエリアの雰囲気を端的に表すランドマークを配置していきます。例えば渋谷をモデルにしたエリアであれば109、石器時代をモデルにしたエリアなら活火山というように。バーチャルとはいえ、ユーザーにあたかも自分が体感しているような印象をもってもらいたいのです。

 ユーザーに体感してもらう……という意味では、新たに実装した「部活」という機能があります。同じ部に所属するユーザーは、アバター同士で「部室」を共有できるのです。「mixiコミュニティ」の掲示板に例えられるかもしれませんが、こちらはリアルタイムのコミュニケーションを重視するので、会話のログはあえて残らないようにしています。運営側ではフォローできないような細かなニーズを、埋めてもらうために用意した機能ですが、既に数万に上る部活ができ、ユーザーの横のつながりに寄与しているようです。

部室の様子 部室の様子
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